1997 Fiscal Year Annual Research Report
着衣・寝具における熱水分挙動とその温熱環境に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
08455268
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鉾井 修一 京都大学, 工学研究科, 教授 (80111938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真奈美 大阪工業大学, 工学部建築学科, 講師 (90249780)
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Keywords | 着衣 / 熱水分移動 / 温熱環境 / 発汗 / 吸放湿性 |
Research Abstract |
着衣などにおける水分移動と蓄積を定量的に把握し、水分吸収と蒸発が温熱感に与える影響を予測することを目的として、以下の項目に関する検討を行った。 1.着衣の水分移動係数とその測定方法についての検討 発汗に伴う液水移動が生じる場合を対象として、着衣における液水を含めた水分拡散係数の測定法について検討した。通常の着衣はその厚さが非常に薄いため、平均化操作に基づく巨視化の是非は必ずしも自明ではなく、それに関する検討も目的としている。これらの結果に基づき、布の繊維方向および厚さ方向の水分拡散係数を測定した。繊維方向の測定は、水平に保たれた布への水平浸透である。吸水量は時間の平方根に比例する変化を示しており、布への吸水現象は従来の拡散方程式で表現されることが明らかとなった。 2.着衣における水分蓄積を考慮した人体における熱水分収支の解析 人体よりの発汗がある状況下での、着衣への水分の移動・蓄積性状、吸水後の蒸発過程、さらに人体温熱感への影響を、簡易な人体温熱モデルを用いて評価した。人体の熱水分収支の基礎式としては、Gaggeらの2ノードモデルを発展させ人体を数個の部位に分割して扱うJonesらのモデルを採用し、これに着衣を加えたシュミレーションモデルを作成した。これを用いて、着衣内水分が人体の熱収支に与える影響を調べた。 また、恒温恒湿室での被験者実験により、発汗、着衣の吸放湿過程の測定を行った。皮膚温、着衣温等の測定結果を、シミュレーションモデルの結果と比較することにより、プログラムの妥当性を検討し、着衣と皮膚との接触の様相、液水と蒸気移動の割合などが大きく左右する可能性のあることを明かにした。
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[Publications] M.Matsumoto, et al.: "An Analysis of Coupled Heat andMoisture Transfer in Buildings Considering the lnfluence of Radiant Heat Transfer" ASHRAE Transactions. 103. (1997)
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[Publications] Sato,M.et al.: "A Numerical Analysis of Moisture Condensation Process in the Building Envelope Insulated by Fiberglass (Effect of Natural Convection and Air Filtration)" Proceedings of CLIMA 2000. (1997)
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[Publications] 梅野ら: "着衣における水分の移動と蓄積を考慮した人体の熱環境に対する非定常応答" 人間-生活環境系シンポジウム. 第35号. (1997)
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[Publications] 高田ら: "布の水分移動係数の同定" 熱物性. Vol.12. (1998)