1997 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア(湿潤熱帯)における地域の生態系に基づく住居システムに関する研究
Project/Area Number |
08455275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
布野 修司 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50107538)
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Keywords | エコハウス / 環境共生住宅 / インドネシア / ソーラーエネルギー / スラバヤ |
Research Abstract |
本研究では、エコ・ハウスに関する環境適応要素技術の研究事例の収集、インドネシアにおける集合住宅の居住実態調査をふまえ、えこ・ハウスの概念構築を行った。 本年度は建設省国際協力課に協力するかたちでインドネシアのスラバヤ工科大学の敷地において実験住宅の建設に取り組んできた。5ヶ月の工事期間を予定しており、スラバヤ工科大学で起工式が行われ、その様子は現地の新聞にも紹介されている。建物は住宅のかたちをした3階建てで、1階は伝統家屋のように柱だけで、2、3階に居室がある。完成後は2階にスラバヤ市とスラバヤ工科大学の研究員が共同で管理するスラバヤ環境情報センターが置かれ、1階は一般学生が作品の展示をしたり、環境についての情報の会議を行う場所になる予定である。 この環境共生住宅は、照明や、エアコンなどにソーラーエネルギーを使用することによって、エネルギー消費をおさえる。またローカルな建設材料を使用する。たとえば、屋根の断熱材として、グラスウ-ルの代わりにココナッツの繊維を用いたり、間仕切り壁他に、ココナッツの木材を用いる。空気と光が建物の中に広く流れるようにもなっている。煙突効果によって、下部から流入する冷たい空気が建物から熱い空気を外に追い出す。また、床に埋め込まれたパイプの中を、ソーラーパワーで駆動するポンプによって水が循環し、建物を冷やす。一方、屋根を伝わる熱は、ココナツから作られる断熱材によって妨げられる。また、外壁の外側には、さらに日射熱を遮断する「壁」をかけられるようにもなっている。 実験住宅は完成後、温熱環境のモニタリング、およびコストや技術を総合的に評価し広く公表する予定である。このパイロット・プロジェクトでは、エコハウスの概念について社会に紹介をすることも重要な課題であると考えている。
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