1997 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンとセラミックスの複合化による新材料の開発と物性評価
Project/Area Number |
08455307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮沢 薫一 東京大学, 大学院・工学系研究所, 講師 (60182010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 邦夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20010803)
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Keywords | C60 / ジルコニア / トライボ材料 / フラーレン / ナノチューブ / ゾル・ゲル法 / 耐磨耗 / 潤滑 |
Research Abstract |
ジルコニアは,有望なトライボ材料として注目されている.一方,C_<60>分子は,高い体積弾性率(810〜972GPa)を持つと言われており,また一般に,カーボンは良い潤滑性を持つことから,C_<60>をジルコニアと複合させることにより,ジルコニアの耐摩擦摩耗特が向上することが期待される.本研究では,C_<60>をジルコニアマトリックス中に一様に分散させるために,C_<60>のトルエン溶液とジルコニアの前駆体であるジルコニウムテトラ-n-プロポキシドを用いて,ジルコニア中へのC_<60>の添加を試み,400°Cの熱処理によって複合粉末を作製した.さらに,C_<60>添加ジルコニア粉末を,銅カプセル中に充填して圧粉成形し,500°C〜900°Cで焼結した.このようにして得られた焼結体は,ヴイッカース硬さが,高いものでは500に達した.この結果は,カーボン添加セラミックスが,低い温度で焼結可能であることを示している.また,焼結体の電気伝導率が,焼結温度の上昇とともに高くなり,仕込み組成ZrO_2-30mass%C_<60>においては,導電性となった.C_<60>添加ジルコニアの構造を透過電顕観察したところ,C_<60>の分解生成物であるアモルファスカーボンやグラファイトが観察された.グラファイトの生成が電気伝導度の増大に寄与していることが考えられるが,全てのC_<60>がグラファイトに変態しているわけではなかった.導電性の向上としてC_<60>分子同士の化学結合的な変化による影響を考察することが必要となろう.また,硬さの上昇には,ジルコニア結晶流同士の焼結の他に,ガラス状カーボンの生成が関与していることが考えられる.以上のように,本研究は,フラーレン添加セラミックスの作製に関する最初の例を示すことに成功した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 葛巻, 林, 市野瀬, 宮沢, 伊藤, 石田: "カーボンナノチューブ/カーボン60ナノ結晶複合体の組織で変形挙動" 日本金属学会誌. 61. 319-325 (1997)
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[Publications] K.Miyazawa et al.: "Characterization of C^<60>-doped Zirconia prepared from Organic Solutions" Proceedings of 6th International Canference or Processing and Fubrication of Advanced Matenals (PFAM-VI). (印刷中). (1998)
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[Publications] 林, 葛巻, 市野瀬, 宮沢, 伊藤: "変形したカーボンナノチューブのEELS測定" 日本金属学会講演概要(春期季大会). 140-140 (1997)
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[Publications] 葛巻, 宮沢, 市野瀬, 伊藤, 林: "カーボンナノチューブ/金属界面のTEM観察" 日本金属学会講演概要(春期大会). 275-275 (1997)
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[Publications] 宮沢, 高橋, 葛巻, 伊藤: "銅カプセル法により作製したZ_rO_2-C_<60>複合体の構造と性質" 日本金属学会講演概要(秋期大会). 179-179 (1997)
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[Publications] 葛巻, 皐月, 林, 宮沢, 市野瀬, 伊藤: "超高圧縮により作製したC60/ナノチューブ複合体の微細組織" 日本電子顕微鏡学会第54回学術講演会. (発表予定). (1998)