異方性複合材料の組織及び強度の超音波による新しい測定法

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08455309
• Research Institution: Tokyo Institute of Technology
• Principal Investigator: 上羽 貞行 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (90016551)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
• Keywords: 異方性材料 / C / Cコンポジット / 骨粗鬆症 / 多孔媒質 / 非浸襲診断法 / 超音波診断 / 超音波散乱 / 腫骨

Research Abstract

本研究では、複雑な構造を持つ異方性材料の内部での超音波の振る舞いを解析し、異方性材料の強度を測定する方法を提案するとともに、材料内部の微小構造を推定する方法を提案する。複数の円柱を一定方向および一定間隔で配置した理想的な1軸異方性材料に超音波を照射することを考えると、ある円柱で散乱された音波がさらに別の円柱で散乱されるといった繰り返しで音場が形成されるものと考えられる。そこで、1本の円柱の散乱場の理論的な関数と材料を構成する各円柱を通過する様々な経路(音線の原理)を考慮して超音波の受波波形をコンピュータ上で計算した。実際に、2mm〜3mmのアクリル性の円柱を2.5mm〜7mmの間隔で配置した1軸異方性材料を数10種類作成し実験したところ、円柱間の間隙が媒質における波長の2倍以上の条件下で理論値と実験値がよく一致することがわかった。
また、逆に超音波をもちいて非浸襲的に円柱の直径および間隔を推定する方法も医療分野等で望まれている。そこで、超音波を試料に照射した際に形成される超音波の進行方向からずれた方向に形成される前方散乱場を計測し、試料を2次元回折格子として考えたモデルを用いて受波波形を周波数解析することにより、円柱の直径および間隔を推定する方法を提案してきたが、本手法は異方性の軸と装置の座標系を一致させる必要性がある。
そこで、人間の腫骨を切り出した試料を回転させながら散乱場を計測して検討を行った結果、音波の照射方向に対して受波器の設置位置を変えた場合、試料の軸と装置の座標系が一致したときに、周波数スペクトルのピークを示す周波数が受波器の設置角度に呼応して変化することを利用して、試料の軸と装置の座標系を一致させることが可能なことを実験的および理論的に確認した。

Research Products

• [Publications] Hidetaka Nishikoori: "Apparent Sound Velocity of Transverse Anisotropic Material with Mesoscopic Structure" Ultrasonic World Congress 1997 Proceedings. 222-223 (1997)
• [Publications] 北村清孝: "超音波散乱場の解析による骨梁の軸方向検出." 第18回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム. 193-194 (1997)
• [Publications] 北村清孝: "超音波散乱波の周波数応答特性による骨の骨梁推定(4)" 平成9年度秋季日本音響学会講演論文集. 1023-1024 (1997)
• [Publications] 錦織秀孝: "微小構造を持つ材料の音速測定(1)" 平成9年度秋季日本音響学会講演論文集. 1023-1024 (1997)