1997 Fiscal Year Annual Research Report
粒子分散強化チタン基複合材料のメゾメカニックス解析による強靭化と疲労強度改善
Project/Area Number |
08455310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 隆司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20023228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 勝巳 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00273269)
田川 哲哉 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (00216805)
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Keywords | 粒子強化形チタン基複合材料 / In-situチタン基複合材料 / 延性 / 破壊過程 / 応力三軸度 / 疲労強度 / 疲労き裂進展 |
Research Abstract |
今年度は昨年に引き続きチタンを母相とするIn-situTiC及びTiB粒子強化複合材料を中心に粒子の形状、機械的性質が、粒子強化型複合材料の延性及び疲労強度、疲労き裂進展速度に及ぼす影響を調べるとともに、他のチタン基あるいはアルミニウム基粒子強化複合材料の延性、疲労に関する文献調査を行い、強化粒子と母相の相対的が延性、疲労に及ぼす影響をとりまとめた。 実験はTiC強化材、TiB強化材両者について平滑及び切欠付き丸棒引張試験片を用いて、破壊過程の観察と延性に及ぼす応力三軸度の影響を調べ、さらに走査電子顕微鏡内疲労試験装置を用いて、疲労き裂発生、進展の電顕内その場観察を行った。静的強度、延性に関しては有限要素法による弾塑性解析を行って界面の剥離、粒子の割れについて実験結果との対比を試みた。静的負荷のもとでは両材料とも母相/粒子界面の剥離は観察されず、破壊は強化粒子の割れが先行し、それらが大きなボイドを形成するとともに、母相に生成されたミクロボイドを介して合体することにより生じていた。切欠きが存在し、応力三軸度の高い状態では、拘束応力のため引張り軸方向に割れる粒子が観察され、また、延性の低下も著しい。FEM有限要素法によって上記破壊過程のシミュレーションを行い、界面強度が大きく、セラミックス系粒子のように強化粒子の弾性率が大きい場合には、粒子の分担する応力が大となり、粒子の割れが変形の初期に容易に起こることが明らかとなった。 疲労の電顕内その場観察の結果によれば、疲労き裂の生成は両材料とも長寿名側では粒子の割れが起点となっており、静的負担では割れの生じないような低応力レベルでき裂が生成していた。これは母相の繰返し軟化により粒子の分担応力が高くなったためと推定され、チタン基複合材料の疲労を考える上で重要な知見が得られた。疲労限は比較材のTi-6Al-4V合金に比べて大幅に低下した。疲労き裂の進展においては、TiC/Tiでは粒子の割れや界面が進展を加速するのに対し、繊維状粒子あるTiBの場合は粒子架橋効果やき裂の迂回が顕著になり、き裂進展の抵抗となって比較材のTi-6Al-4V合金より優れた進展特性を示した。アルミニウムを母相とする複合材料の場合には疲労強度は複合化によって一般に向上するようであり、元々優れた疲労特性を持つチタン合金の場合には、複合化による強度特性の向上は、必然的に延性、疲労強度の低下を招く恐れのあることが示唆された。
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[Publications] T.Tagawa: "Fatigue Crack Initiation and Growth in Titanium Alloy Matrix Composite" Advances in Materials Research,ICF09. 3. 1693-1700 (1997)
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[Publications] 黄政煥: "TiB粒子強化チタン基複合材料の延性破壊" 材料. 47. 177-183 (1998)
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[Publications] 黄政煥: "In-situ粒子分散型複合材料TiC/Ti-6Al-4V-11Crの延性破壊" 材料. (掲載決定).
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[Publications] 和田原英輔: "In-situ粒子分散型チタン基複合材料の疲労特性" 日本材料学会学術講演会論文集. 45. 95-96 (1996)