1997 Fiscal Year Annual Research Report
合金/溶融塩界面での酸化皮膜形成過程に関する研究-ひずみ電極法による検討-
Project/Area Number |
08455331
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西方 篤 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90180588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 和彦 東京工業大学, 工学部, 助手 (60241361)
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Keywords | ひずみ電極 / 溶融塩 / 高温腐食 / 酸化皮膜 / 不働態 / 応力 / 分極曲線 |
Research Abstract |
本研究は高温溶融塩環境でのひずみ電極法測定システムを確立し、溶融塩中における材料表面の酸化皮膜の破壊・修復過程を追跡し、その機構を明らかにすることを目的としている。 溶融塩系でのひずみ電極計測システムはほぼ完成し、300℃のKNO_3-NaNO_3溶融塩中でSUS304ステンレス鋼を試料として計測を行った。具体的にはSUS304鋼を不働態化電位に定電位分極した状態で、定ひずみ速度での引っ張り試験を行い、そのときの荷重と電流の変化を記録計測した結果、次のことがわかった。 ひずみ電極の電気化学的な挙動は、一般的に、試料極の変形状態により、大きく3つの領域に分かれた。(I)弾性変形領域では試料極の弾性的な伸びによる酸化皮膜の膜厚の減少あるいは皮膜破壊による電流の増加が観察された。(II)塑性変形領域ではすべり変形の結果生じる新生面の出現による電流の急激な増加が観察された。また、変形に対する電流の増加速度は弾性領域より小さくなることがわかった。(III)破断変形領域では破断面の出現による電流増加とその後の破断面の不働態化のための急激な電流減少が観察された。また、塩化物イオンを50mol%まで添加した硝酸塩浴で、引っ張り速度(10mm/minと1mm/min)を変えて伸びに対する応力と電流応答を調べた結果、引っ張り速度が速くなるほど新生面の生成速度が大きくなり、それに再不働態化が追いつけなくなるため、短時間に多くの電流が流れることが分かった。 以上、延べたように現時点では溶融塩中での金属材料の変形に対しての酸化皮膜の破壊・修復過程が、開発したひずみ電極システムにより追跡可能であることがはじめて示された。今後、このシステムを使ってデータを蓄積することにより酸化皮膜の破壊・修復過程が明らかにされるものと期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 張弓 西方篤 水流徹: "ごみ焼却炉模擬環境における合金の耐食性評価への交流インピーダンス法の適用" 日本金属学会誌. 60. 970-979 (1996)
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[Publications] A.Nishikata, G.Zhang, T.Tsuru: "Rapid Evaluation of Corrosin Resistance of Ni-base Alloys in Molten Salts Using AC Impedance Method″" Mater.Trans.JIM.38. 312-318 (1997)
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[Publications] 張弓 西方篤 水流徹: "浸漬試験、塗布試験、埋没試験によるNi基合金の高温耐食性評価" 日本金属学会誌. 61. 587-595 (1997)
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[Publications] 西方篤 柴橋威光 張弓 水流徹 小林重夫 占部武生: "ごみ焼却炉環境での腐食のモニタリング" 材料と環境'97講演集. 137-140 (1997)
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[Publications] 西方篤: "浸漬、埋没、塗布試験の比較と電気化学計測の適用" 第117回腐食防食シンポジウム試料. 27-36 (1998)