1997 Fiscal Year Annual Research Report
傾斜合金化プラズマ浸炭法による遷移金属の表面炭化と長寿命安定放電電極への応用
Project/Area Number |
08455338
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 一博 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (80112069)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 学 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (20243272)
牛尾 誠夫 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (80029248)
|
Keywords | 組織傾斜材料 / プラズマ浸炭 / 表面炭化 / タングステン / チタン / 放電 / 熱衝撃 / 炭化物 |
Research Abstract |
本研究ではプラズマ浸炭法により傾斜合金化の手法を導入して,遷移金属の表面に密着性・耐熱衝撃性に優れた炭化物セラミックス層を形成するプロセスの開発及びその機構を解明すると共に,このようにして得られた表面炭化材の放電特性を評価・解析することにより,これまで実用化が困難とされてきた炭化物系セラミックス電極による長寿命安定放電電極の開発への基盤研究を平成8年度〜平成9年度の2年間にわたって実施した. 平成8年度は,イオン窒化装置(既設)を改造したプラズマ浸炭装置により代表的な高融点遷移金属であるタングステンを用いて浸炭温度が最高2000℃までの安定なプラズマ発生条件を求め,高融点遷移金属の浸炭が可能なプラズマ浸炭実験装置および温度計測法を確立した. さらに,タングステン材に対して,プラズマ放電制御により表面炭化層の組織傾斜化を行い,表面は炭素濃度の高い炭化物セラミックス層で、内部に向かうに従って炭化物析出量が順次減少してゆく傾斜組織を有する炭化層を形成した. 上記の昨年度の結果を踏まえて,本年度は本研究の最終年度としてのまとめの研究を行い,以下の結果を得た. 1.アーク放電装置(既設)による耐熱衝撃性の評価を行い,タングステン表面炭化層の適当な組織傾斜化によりアーク放電時の熱衝撃に耐えうることを明らかにした. 2.放電電極としての放電特性の評価を行い,表面炭化したタングステン電極は既存のタングステン電極に比して,安定放電期間が長くなり,長寿命化することができた. 3.タングステン以外の遷移金属としてチタンについてプラズマ浸炭を行ったが,表面炭化層はポーラスであり,タングステンのような緻密な炭化層の形成は困難であり,表面炭化層の組織特性は遷移金属の種類により大きく異なることが推察された.チタン材の表面炭化層の緻密化およびその他の遷移金属に対する適用は今後の検討課題である.
|