1997 Fiscal Year Annual Research Report
有機化合物の高度精製のための傾斜型晶析塔の開発と運転
Project/Area Number |
08455363
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松岡 正邦 東京農工大学, 工学部, 教授 (40016671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝山 博志 東京農工大学, 工学部, 助手 (40251582)
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Keywords | column crystallizer / purification / inclined column / axial dispersion coefficient / ε-caprolactam |
Research Abstract |
晶析塔内で、結晶粒子群の沈降を促進させ、同時に固液間の接触を維持できる装置として傾斜型晶析塔を考案し、その分離特性を実験的に検討した。これまでの研究で、傾斜型晶析塔(傾斜角:θ=45°)は、垂直型晶析塔(θ=0°)と比較し、操作の安定性を有していることが示してきた。そこで、本研究では、精製部の長さの効果や傾斜角の影響を明らかにし、晶析塔内で起きている有機物結晶の精製機構を明らかにするとともに、操作条件との相関を見いだすことを目的とした。 実験装置は、ガラス製の晶析塔で、試料としては、共晶系のε-カプロラクタム-水の2成分系、固溶体系のアクリル酸-プロピオン酸-酢酸の3成分系を用いた。測定変数は、塔内温度分布T、不純物組成(1-w_L)、結晶相の体積分率φvとした。測定端が準備できる変数については全て分散制御システム(ASTNEX:横河電機)に取り込んだ。また濃度の分析は、使用した試料によってカ-ルフィッシャー水分計、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ(ジ-エルサイエンス)を使い分け、用いた。実験は、全還流条件下で行った。T、(1-w_L)、φ_vの値が安定した時点を定常とした。 一連の実験により純度と精製部長さの関係が明かとなってきたので、精製部の長さを長くして実験を行ったところ、到達純度が高くなることが確認できた。 液相の逆混合と結晶相の精選速度を考慮に入れたモデルを作製し、定常状態での物質収支をとり、微分方程式を解くと、(1-w_L)は、逆混合拡散係数D_<ax>及び精製速度係数k′を含み精製部の長さ(冷却部からの長さ)Zの関数となる。定常状態での融液の組成分布を解析し、D_<ax>及びk′を求めた。実験とモデル解析により、(1-w_L)に対し、精製部上部では逆混合の項、精製部上部では精製速度の項が支配的であることがわかった。
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