1996 Fiscal Year Annual Research Report
バイオプロダクツの分離・回収のための機能性水性二相系の開発に関する研究
Project/Area Number |
08455364
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶内 俊夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (30016555)
|
Keywords | 水性二相系 / バイオプロダクツ / 二段階抽出 / タンパク質分離 / 曇点 |
Research Abstract |
機能性水性二相系を形成する高分子として、α-アリルωメトキシポリオキシアルキレンと無水マレイン酸との交互共重合体を選択した。この高分子はアルキレン鎖の種類により疎水性が変化でき、一方マレイル基の反応性ならびにpHに対する解離度が徐々に変わるため、温度、pHに感応する二相系が期待される。 1.高分子水溶液の下部臨界相溶温度(曇点)を利用した温度による2段階抽出水性二相系の開発のために、アルキレン鎖、共重合度の異なる高分子について曇点を測定し、さらにそれに及ぼすpH,添加塩の効果について実験的に検討し、疎水性の観点から考察した。 2.曇点を推定するために、Flory-Hugginnsの理論を解離度を考慮に入れて拡張して適用することを試みた。 (1) 無水マレイル基2対が4段階の解離状態を取ると仮定し、pHと解離度の関係を求めたところ、計算値と実験値はよい一致を示した。 (2) 解離度を考慮したFlory-Hugginnsの理論展開による計算値は曇点現象の実験値をよく説明できることを示した。 3. 高分子が水溶液中でpHにより形態が変化することが推測できるが、高分子水溶液の流動特性および動的光散乱法の結果から考察した。解離度が増加するにつれ、粘性および凝集体径の増加が見られ、とくに解離度が0.4〜0.5の間で増加傾向が異なり、解離度と形態変化の関係が考察できた。 4.タンパク質の分配実験を行い、分配係数に及ぼす諸因子の関係を検討するとともに、2段階抽出法の可能性を示した。 5.成果については公表準備中であり、ほぼ予定通りが実行できた。
|