1997 Fiscal Year Annual Research Report
バイオプロダクツの分離・回収のための機能性水性二相系の開発に関する研究
Project/Area Number |
08455364
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶内 俊夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (30016555)
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Keywords | 水性二相系 / タンパク質 / 酵素 / 反応性水性二相系 / 感温性水性二相系 / 分離精製 / 2次転移点 |
Research Abstract |
タンパク質、とくに酵素の分離・精製を目的として、新しい機能を備えた、水性二相分配系の開発を目的として、研究を続けてきた。水性二相系は、水溶性の2種の高分子、または、水溶性高分子と、ある種の無機塩から形成されるが、本研究では、分配後の再分離の面から、高分子/無機塩系の二相系を採用した。二相系としての機能を持たせるために、ポリアルキレンオキサイドと無水マレイン酸との櫛型の構造を持つ共重合体を高分子としてまた、無機塩として、リン酸カリウムを選択した。高分子選択の理由として、(1)ポリアルキレンオキサイドとして、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキシド、またそれら両者の任意の割合での鎖が調整できるため、疎水性を変化できること、(2)無水マレイル基(複数)は、pH変化によって解離状態が変化するため、pHに敏感な二相系が期待できること、(3)無水マレイル基はタンパク質表面のアミノ基と反応できること、そてによって、酵素を修飾したり、本来、塩相に分配する成分を反応のよって高分子相に分配できること、などである。このような、水性二相系は本研究を通じて新たに開発されたものである。 以上の、水性二相系を用いて、高分子の疎水性、高分子濃度、温度、pHなどの環境条件を変えて、種々のタンパク質の分配実験を行なってきた。その結果、pH、温度に敏感な二相系の特徴を把握でき、分配条件を変えることにより目的成分を分離・精製する操作手法を明らかにした。また、2次転移点を利用した新しい分配法を開発できた。さらに、反応を利用した方法についても、明らかになってきた。今後の展開としては、反応したタンパク質(修飾酵素)の性質と、反応性水性二相分配との兼ね合いを詳細に実験的研究を続けていく。
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Research Products
(2 results)