1996 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性組換え酵母培養プロセスにおけるオンライン状態認識・制御システムの開発
Project/Area Number |
08455381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩谷 捨明 大阪大学, 工学部, 教授 (50026259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 幹男 大阪大学, 工学部, 助手 (00273590)
清水 浩 大阪大学, 工学部, 助教授 (00226250)
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Keywords | 温度感受性組換え酵母 / 状態認識 / 異常診断 / 自己想起型ニューラルネットワーク / ウェーブレット変換 |
Research Abstract |
温度操作により導入した遺伝子の発現調節が可能な宿主・ベクター系を用いた物質生産は、その運転操作のし易さから注目されている。我々の研究グループではすでに、温度により発現調節可能な酵母 Saccharomyces cerevisiaeの宿主・ベクター系を用いたイネα-アミラーゼ生産システムを構築しており、その最適温度政策を決定している。しかし、最適な培養計画に基づき運転しているにも関わらず、種々の不確定要素のために、最適な状態からはずれてしまうことが考えられる。本研究では、この様な異常な状態をプロセスデータからオンラインで検出するシステムの構築を目指した。 回分培養系において、温度センサと、プラスミド保持率の異常を、自己想起型ニューラルネットワークを用いて検知できるシステムの構築を試みた。異常診断には、5層の自己想起型ニューラルネットワークシステムを用いた。自己想起型ニューラルネットワークは、入力した値が出力に現れるような恒等写像を学習するネットワークのことである。学習は入力ベクトルと出力ベクトルに同じプロセス変数を用い、バックプロパゲーション法により行った。信号のノイズ除去と、学習時間短縮を目的としてデータをウェーブレット変換を用いて圧縮した。状態診断の評価関数には、規格化した入出力値の差の二乗和を用いた。その結果、培養初期あるいは培養途中からの温度センサの故障、および、プラスミド保持率の異常を検出することができた。さらに、温度センサが故障していると検出された場合、修復作業を行うことにより培養終了時点での生産を理想状態に近づけることが可能となった。
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