1996 Fiscal Year Annual Research Report
混合溶媒を用いる微量金属イオンの抽出フローインジェクション分析
Project/Area Number |
08455388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 弘子 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50024261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 孝志 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (60270998)
湯地 昭夫 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60144193)
山田 碩道 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50021613)
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Keywords | 混合溶媒 / イオン会合系抽出 / イオン会合体の生成定数 / イオン会合体の分配定数 / α-PAN-4S / テトラブチルアンモニウム / 1-オクタノール / オクタン |
Research Abstract |
従来イオン会合系の抽出において最も使用頻度の高いクロロホルムなどのハロゲン系溶媒は環境問題および人体への有害性が指摘されるようになり、その使用がこのまま許されことは難しい情勢にある。そこでこれらの溶媒に代わりうる溶媒の開発を目的の一つとして、混合溶媒を検討することにした。 2-(2-ピリジルアゾ)-1-ナフトール(α-PAN)の4位にスルホン酸基を導入した2-(2-ピリジルアゾ)-1-ナフトール-4-スルホン酸(α-PAN-4S:H_2L)が銅(II)イオンと陰イオン性の錯体(CuL_2^<2->)を生成し、そのモル吸光係数が非常に大きいことに着目し、この銅(II)錯体を第4級アンモニウムイオンであるテトラブチルアンモニウムイオンによりイオン会合体として抽出し定量する系に対して、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒を使用しないでいくつかの溶媒の有用性を検討した。 人体への有害性の低い溶媒を選んで、それぞれの溶媒に関して抽出性と相分離性の2点を検討し、溶媒の有用性を検討したところ、抽出性の優れている1-オクタノールでは、相分離性が悪く、また相分離性のよいオクタンではほとんど抽出されないことがわかった。そこで、これら二つの溶媒を混合することによりそれぞれの溶媒の長所のみを引き出すことが出来ることを期待して、1-オクタノール・オクタン混合溶媒を検討したところ、期待通り抽出性も相分離性も満足できる溶媒として使用が可能であることがわかった。さらに、この複雑なイオン会合抽出系の抽出平衡を詳細に解析することにより、従来はほとんど明らかにされていない、イオン対の生成定数と分配定数も見積もることができた。また、二つの混合比を変えた溶媒による抽出を行うことにより、オクタンの抽出性が低いのは、イオン対の分配定数が非常に小さいことに起因すること、このように抽出性に極端に差のある溶媒を混合することにより、任意の抽出性を持つ溶媒をつくることが可能であり、混合溶媒が抽出平衡の解析の面からも有用であることを示すことができた。
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