1997 Fiscal Year Annual Research Report
多元情報を含有できる光学色素分子の創製と物質センシングへの方法論の展開
Project/Area Number |
08455390
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (80154540)
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Keywords | オプティカルセンシング / 光学色素分子 / 水分分析 / ソルバトクロミズム / ベタイン型色素分子 |
Research Abstract |
多元情報を含有できる色素分子としては、以下のコンセプトに基づいて設計し、光学的な物質センシングへの応用を検討している。(a)様々な吸収スペクトル変化を得るための色素骨格の選択。(b)色素の共役系に電子吸引性・供与性の官能基を導入して、色素特性の制御を行う。(c)センサーデバイスへの応用を考慮し、色素分子内に固定化サイトを導入する。本年度は、さらに高感度なセンシングへの応用を可能にするために、新しい光学情報色素の設計・合成を行った。この分子には色素骨格として顕著なソルバトクロミズムを示すことで知られる、Pyridinium N-phenoxide betaine骨格を導入した。新規に合成した色素の基礎特性として、酸塩基特性とソルバトクロミック特性を調べた。その結果、この色素は顕著なソルバトクロミズムを示し、pH測定や有機溶媒中の水分測定など、種々のオプティカルセンシングへの応用の可能性があることが分かった。 KD-M102と呼ぶ新規合成色素は、周囲の極性及びpHの変化に依存した構造変化からの吸光スペクトル変化を示す。この色素を様々な溶媒に溶解し(2x10-4M)、吸光スペクトル測定を行った。色素のpH特性は、メタノール:水=2:1(v/v)の組成で水のpHを変化させた場合の吸光度測定によって調べたところ、メタノール:水系におけるpKaは4.6であった。これは、色素中のBr基の効果によるもので色素は低いpKa値を示す。これまでの研究から、このような特性は中性pH域においてもソルバトクロミズムを示す電荷誘起型の分子型が保たれ、有機溶媒中の水分測定に有効である。この色素を用いて、THF中の水分組成を変化させたときの吸収スペクトルの変化を調べたところ、有機溶媒中の水分濃度を最大吸収波長によって測定することができることが分かった。また、極性変化に対する色素の感度が昨年度に報告したメロシアニン型の色素(KD-M5)より上昇し、以前より高感度なセンシングが可能となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hideaki Hisamoto: "Molecular Design,Characterization,and Application of Multiinformation Dyes for Multi-Dimensional Optical Chemical Sensings. 2. Preparation of the Optical Sensing Membranes for the Simultaneous Measurements of pH and Water Content in Organic Media" Analytical Chemistry. (in press). (1998)
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[Publications] Dwi Siswanta: "Magnesium Ion-Selective Optodes Based on a Neutral Ionophore and a Lipophilic Cationic Dye" Analytical Sciences. 13. 429-435 (1997)
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[Publications] 久本秀明: "(ミニレビュー)オプト-ド" 日本海水学会誌. 51. 255-258 (1997)