1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 峰夫 新潟大学, 工学部, 教授 (30149984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 竜也 新潟大学, 工学部, 助手 (60272811)
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Keywords | ゾルゲル法 / イオン伝導体 / リチウムイオン伝導体 / 金属アルコキシド / 薄膜 |
Research Abstract |
リチウム二次電池は起電力やエネルギー密度が格段に高いために、次世代の電池として注目されている。この電池の小型化、集積化、作動温度の高温化といった要求に対して、室温におけるリチウム超イオン伝導体の開発が叫ばれている。最近、新しいリチウムイオン伝導体Li_3Sc_2(PO_4)_3が報告された。この化合物の高温γ相は、α-AgIの場合とよく似た平均構造を有しており、室温での超イオン伝導相の期待がもたれている。本研究では、この化合物のScサイトを原子価の異なる2価、4価、5価のイオンで置換することによりこの化合物のγ相の室温での安定化を試みた。2価イオンとしてMg^<2+>、4価イオンとしてTi^<4+>、Zr^<4+>、Hf^<4+>、Sn^<4+>、5価イオンとしてNb^<5+>、Ta^<5+>をそれぞれ用いたところ、いずれのイオンも5〜10mol%以上の置換によりγ相が室温で安定化された。その際、より原子価の高いイオンの場合、少ない置換割合で安定化することができた。得られた各置換体の構造を粉末X線解析及び中性子回析のリ-トベルド法により解析したところ、置換により新たにリチウムサイトに空孔が導入され、これに伴ってリチウムイオンの配置にディスオーダが生じるためにγ相が安定化されることが分かった。また、いずれの置換体も5mol%付近に導電率の最大値が現れたが、これは格子定数の内a軸の伸張とよく対応していた。このa軸の伸張はリチウムイオンの伝導パスであるbc面の空間的スペースの緩和に対応しており、リチウムイオンのモ-ビリティの増加につながったものと考えられる。次年度以降ではこの化合物中でのリチウムイオンの動的性質を解明するとともに、リチウム二次電池の応用に向けてこの化合物のゾル・ゲル法による薄膜化を試みる予定である。
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