1996 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属化合物の選択的酸化による新規合成手法の開発
Project/Area Number |
08455417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 俊一 大阪大学, 工学部, 教授 (90116088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森内 敏之 大阪大学, 工学部, 助手 (60281119)
小川 昭弥 大阪大学, 工学部, 助教授 (30183031)
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Keywords | 酸化反応 / レドックス / オキソバナジウム / 有機ジルコニウム化合物 / 有機アルミニウム化合物 |
Research Abstract |
遷移金属錯体の一電子レドックスプロセスを用い、有機金属化合物を一電子酸化または一電子還元すれば、金属上の電子状態を変えることにより新規な反応挙動が予想され、従来にない新規合成反応が可能になる。金属交換が起こる場合には、導入した金属の特性に基づいた反応性が可能となり、有機金属化合物を中間体とする合成手法が拡大される。本研究では、有機金属化合物に対してレドックス相互作用できる金属として、一電子酸化能力を有するオキソバナジウム化合物に焦点をあて、有機金属化合物の酸化的変換反応に関する研究を展開し、以下のような結論を得た。 1)ヒドロジルコニウム化により合成した有機ジルコニウム化合物をオキソバナジウム酸化剤で酸化したところ、酸化的カップリング反応が効率的に進行することが明らかになった。 2)ヒドロアルミニウム化で得られる有機アルミニウム化合物に対しても、オキソバナジウム化合物による酸化反応を検討したところ、同様な酸化的カップリング反応が起こることが判明した。さらに、有機アルミニウム化合物をアート錯体に変換することで、より高い反応性が見られた。 3)オキソバナジウム化合物により有機金属化合物の電子状態を変えることで、このような酸化反応挙動が可能になったと推測される。形式的には、有機典型金属化合物において還元的脱離が誘起されたと考えられる。 4)有機金属化合物を単離することなく、one potで酸化的カップリング反応を行うことができ、有用な合成手法として位置づけられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshikazu Hirao: "Vanadium in Modern Organic Synthesis" Chemical Reviews. (印刷中).
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[Publications] Toshikazu Hirao: "Topics in Current Chemistry Selective Transformations of Small Ring Compounds in Redox Reactions" Springer-Verlag, 49 (1996)