1996 Fiscal Year Annual Research Report
N-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を触媒とする新酸素酸化反応の開拓
Project/Area Number |
08455420
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
石井 康敬 関西大学, 工学部, 教授 (50067675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 聡 関西大学, 工学部, 助手 (50278602)
西山 豊 関西大学, 工学部, 助教授 (30180665)
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Keywords | N-ヒドロキシフタルイミド / 酸素 / 酸化 / シクロヘキサン / アダマンタン / アジビン酸 / アダマンタノール / アルキルベンゼン |
Research Abstract |
分子状酸素を酸化剤とする有機基質への直接的な酸素導入反応は、合成化学上極めて重要な反応であり、これまでにも多くの研究がなされている。申請者らは、N-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)がこれまでにない極めてユニークな酸素酸化触媒として働き、種々の有機基質の酸素化を促進することを発見した。 本研究では、シクロヘキサンやアダマンタンのような環状アルカンを10mol%のNHPI触媒と0.5mol%程度のマンガンまたはコバルト塩の存在下常圧酸素雰囲気のもとで反応させると、良い収率で相当する酸素化生成物が得られることを見出した。例えば、シクロヘキサンを70-100℃で酢酸マンガン共存下で反応させるとアジピン酸が転化率70%、選択率75%前後で得られることがわかった。 また、アダマンタンをコバルト塩の存在下70℃で酸化するとアダマンタノールとアダマンタンジオールが、これまでの酸素酸化反応では達成できなかった高い収率で生成することがわかった。特に、アダマンタンジオールは従来の酸素酸化反応で合成された例がないが、本触媒系を用いるとジオールが50%以上の収率が得られ合成化学的にも極めて興味深い結果であると考えられる。さらに、アダマンタンジオールを基質に用いるとアダマンタントリオールが良い収率で生成することを見出した。 さらに、アルキルベンゼン類の酸化反応を本系を用いて行うと、常温常圧のもとで酸素化が達成できることがわかった。例えば、トルエンはこれまで100℃以上の温度で酸素化が行われていたが、本触媒系により室温でほぼ定量的に安息香酸に変換できることがわかった。
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Research Products
(1 results)