1996 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体の分子選択に基く中性条件下での高効率的な炭素骨格構築法の開発
Project/Area Number |
08455424
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 勇 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80023266)
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Keywords | シリルホルミル化 / ロジウム錯体 / ラクタム骨格 / シリルカルバモイル化 / ビシクロ[3.3.0]オクテノン |
Research Abstract |
本年度の研究は、我々が先に見出したアセチレン性三重結合に対する選択的シリルホルミル化を機軸として、その機構の解明および炭素骨格形成における新手法の開発を目的として実施し、比較的順調に計画を進展することができた。その結果、i)一酸化炭素加圧下に限ってRh_4(CO)_<12>とR_3SiHからRh(CO)_4SiR_3が生成する、ii)生成したRh-Si結合へは炭素-炭素三重結合および一酸化炭素が逐次的に挿入する事実が明らかとなり、シリルホルミル化におけるロジウムの触媒サイクルが明らかになった。次いで、この知見に基づいて、アセチレン性三重結合への一酸化炭素の取り込みを鍵反応とする、従来とは全く異なった概念によるラクタム骨格の形成反応を企画し、実施したところ、アルキニルアミン、ヒドロシラン、および一酸化炭素の反応では、ロジウム錯体触媒に加えて1,8-ジアゼビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)を触媒量用いた場合にのみ、一段の操作で、4,5,6,7員環ラクタム骨格が形成できることを見出した。また、この手法が分子内閉環ばかりでなく、分子間での実用的なシリルカルバモイル化反応として転用できることも見出した。即ち、アルキン、ヒドロシラン、一酸化炭素、ピロリジンを反応剤とすると、アルキン分子に対して、シリル基とカルバモイル基とをcis-選択的に導入できる新手法を開発することができた。 一方、1,6-ヘプタジイン誘導体に対して、シリルホルミル化と類似の条件で反応を行うと、ビシクロ[3.3.0]オクテノン骨格を一挙に組み上げることができ、置換基相互の立体化学もかなりの程度、制御できるまでになった。
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