1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455425
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
西山 久雄 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40135421)
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Keywords | ピリジン系配位子 / ルテニウム / 不斉エポキシ化 / ジアセトキシヨードベンゼン / オレフィン / 金属錯体 |
Research Abstract |
(目的)独自に開発した窒素系配位子を合成し生体系金属錯体と等電子構造をもたせ立体制御を伴う有機反応に応用し高選択的反応を開発することを目的としている。特に,骨格に不斉環境を導入し、光学活性化合物を生成させることも目的である。 (実施概要)光学活性アミノ酸から誘導したアミノアルコールを原料として数種のピリジンビスオキサゾリン配位子を合成した。この新規三座配位子を用いマンガン,モリブデン,ルテニウム錯体の合成を検討したところ,(1)マンガンジクロロ錯体(2)モリブデントリカルボニル・テトラカルボニル錯体の合成に成功しX線結晶解析によって構造を明らかにした。(3)特に,ルテニウム錯体では,ピリジンカルボキシレート錯体の合成と構造解析に成功した。又,本補助金で導入したFT-IRによりスペクトル解析によって構造との関連性も議論できることができた。ルテニウム錯体では電気化学的手法によって酸化還元特性を明らかにし,触媒反応への手がかりを得ることができた。次にこれら,マンガン,モリブデン,ルテニウム錯体によるオレフィン(特にトランス-スチルベンを主に用いて)の不斉エポキシ化反応を検討した。マンガン,モリブデン錯体は,ヨードソベンゼンや過酸化水素の酸化剤の共存下で酸化分解し触媒としての活性を発現できなかった。しかし,ルテニウム錯体では、触媒回転率10回程度有効でなおかつ60%鏡像体過剰率(%ee)を達成した。この系列の触媒では最高である。特に,酸化助剤としてジアセトキシヨードベンゼンという滲解性の良い酸化剤が有効であることを発見したことは今後の展開が極めて有望であることを期待される。今年度中の実績は,年度末に速報にまとめしかるべく雑誌に投稿予定である。又,各種トランスオレフィン系のエポキシ化へ展開中である。
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