Research Abstract |
2,6-ジメトキシフェニルリチウム、ΦLi[Φ=2,6-(MeO)_2C_6H_3],とジエチル-p-フタール酸の反応で3置換化合物,p-HOCΦ_2C_6H_4C(O)Φ(1),あるいは1,4-ベンゼンジメタノール,p-HOCΦ_2C_6H_4CΦ_2OH(2a),を得た。さらに,化合物1とアリールリチウム,ArLi,の反応により1,4-ベンゼンジメタノール,p-HOCΦ_2C_6H_4CArΦOH(Ar=4-MeC_6H_42b,4-MeOC_6H_42c),を得た。ジメチルスルホキシド中で化合物2aに酸を作用させると予想外な生成物3-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-3-(2,6-ジメトキシフェニル)-6-[ビス(2,6-ジメトキシフェニル)メチレン]-1,4-シクロヘキサジエン4a,が定量的に得られた。この反応は,まずカルベニウムイオン,[p-Φ_2C^+-C_6H_4CΦ_2OH](3a),が生成し,その陽電荷がp-フェニレン環のpara-位にも分極するためにそこに隣接するΦ-基のひとつがp-フェニレン環上に転移したものと理解できる。アセトン中で化合物2aに酸を作用させると4aあるいは(2′,6′-ジメトキシ-4-ビフェニリル)ビス(2,6-ジメトキシフェニル)カルベニウム塩,[(4-ΦC_6H_4)CΦ_2]ClO_4,の暗紫色結晶が得られる。エタノールやメタノール,熱2-プロパノール中では還元体,(4-ΦC_6H_4)Φ_2CHが得られた。2bや2cもジメチルスルホキシド中で酸と反応して3-メチレン-1,4-シクロヘキサジエン誘導体を生じた。^1H-NMRスペクトルによりカルベニウムイオン中間体3a-cの生成を証明することもできた。
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