1997 Fiscal Year Annual Research Report
[2,3]シグマトロピィ転移による新規炭素-窒素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
08455430
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 清機 岡山大学, 工学部, 教授 (60033239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 彰彦 岡山大学, 工学部, 助手 (10263617)
|
Keywords | [2,3]シグマトロピー転位 / 2級アリリックアミン / エナンチオ選択的転位反応 / ジアステレオ選択的転位反応 / 光学活性2級アリリックアミン / アミノポリオール / 1,2-不斉誘導 1,3-不斉誘導 |
Research Abstract |
本研究は,O-アリリックヒドロキシルアミンの[2,3]シグマトロピー転位による炭素-窒素結合生成反応に関するものである。これは,前例の無い新反応として,あるいは2級アリルアミン類の合成法として学術的にも実用的にも意義深く,その適応範囲と限界を明らかにすることは本研究の重要な目的の一つである。これまでに以下の事実を明らかにした。 (1)基質であるO-アリリックヒドロキシルアミンは,対応するアリルアルコールを原料として,基本的にはN-ヒドロキシフタルイミドを求核反応剤として光延反応によって合成される。本転位反応が進行するためには,塩基としてアルキルリチウムが必要である。また窒素原子上にベンジル基(あるいはアルキル基)が必要で,アシル基では反応は全く進行しない。置換基が無い場合には,副反応すなわちN-O結合の開裂が進行する。 (2)転位の結果基質の共役系が破壊される場合,3級中心が構築される場合,あるいはアリリック二重結合が環状構造に固定されている場合には収率が低下し,(1)で述べた副反応が支配的になる。 (3)酸素原子が2級炭素に結合する時には,転位の結果共役系が破壊される場合でも,反応は良好な収率で進行する。 (4)酸素原子が2級炭素に結合し,かつ転位の結果共役系が構築される場合には,1級アミノ基であっても,塩基無しでDMF溶媒(必須)を用いて加熱(50-70℃)するだけで反応は高収率で進行する。 (5)本反応を用いる1,2-及び1,3-不斉誘導が満足すべき選択性(80-90%de)で進行する。 (6)本反応をキラルなジアミンあるいはビスオキサゾリン配位子の存在下で行うと,エナンチオ選択的な[2,3]シグマトロピー転位(90%ee)が進行する。
|
-
[Publications] 齋藤清機, 石川彰彦: "隣接ジオール制御素子による不斉空間の構築とニトロンオレフィン[3+2]環化付加反応の立体制御への応用" 有機合成協会誌. 56・2. 16-25 (1998)
-
[Publications] Ishikawa,T. ; Nagai,K ; Senzaki,M. ; Tatsukawa,A ; Saito,S.: "Hemiaminal Generated by Hydration of Ketone-Based Nitrone as an N,O-Centered Nucleophile in Organic Synthesis" Tetrahedron. (in press). (1998)