1996 Fiscal Year Annual Research Report
定序性に基づく光学活性な高分子包接体の立体構造の制御
Project/Area Number |
08455442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮田 幹二 大阪大学, 工学部, 教授 (90029322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 和己 大阪大学, 工学部, 助手 (80225911)
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Keywords | 定序性 / 炭素鎖高分子 / 不斉認識 / 分子情報 / 立体構造 / 情報の表現 / X線解析 / 分子グラフィックス |
Research Abstract |
定序性に基づく情報がホスト・ゲスト結晶において非共有結合などの弱い結合により表現されると考えれば、高分子包接体を通して分子情報が表現されるという概念が成立するはずである。そこで、この包接体の立体構造と定序性との関係が理解されれば、定序性分子情報による包接化の制御が可能になると期待される。そこで本研究では、定序性と包接体の立体的関係を解明することを目的とし、今年度は次のような成果が得られた。 1.定序性の異なるホストを合成し、ホスト・ゲスト分子集合体を再結晶法にて形成させたところ、非常に多種類の包接体が得られた。通常一つのホストについて百種類以上のゲストを用いて調べたが、包接能はホストに依存して多様に変化した。 2.包接結晶生成の観点から、分子認識の機構解明に必要な基礎データを集積した結果、包接境界とゲストの大きさ・形・極性・キラリティーとの関係を考察することが可能になってきた。 3.ホスト・ゲスト包接体の単結晶をつくり、そのX線構造解析を百個以上の包接単結晶について低温で行った。まず粉末回折パターンにより、結晶が既知のものと同型か異型かを調べ、次に単結晶について解析を行い、構造データを集積することができた。 4.上記のようにして得られた構造解析データに基づいて、分子集合体をパソコン上で組み立て水素結合様式と分子集合様式を解析した結果、分子構造の変化と水素結合・分子配列の変化との対応関係が明らかになってきた。さらに、包接空間を分子グラフィックスにて解析し、分子認識の機構を考察した。その際ホスト分子の部分構造と包接空間との関係を現在詳細に解析しているが、ステロイド骨格と側鎖が包接空間の構築に関わっていく仕組みが明らかになりつつある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Sada: "Chiral Discrimination of 1-Phenylethylamine by Diastereomeric Salt Formation with Bile Acids. Crystal Structure of Cholic Acid Salts with (R)-and (S)-1-Phenylethylamine." Chemistry Letters. 837-838 (1996)
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[Publications] K.Nakano: "Novel Additive Effect of Inclusion Crystals on Polymorphs-Cholic Acid Crystals Having Different Hydrogen-Bonded Networks with the Same Organic Guest." Jorunal of the Chemical Society,Chemical Communications. 989-990 (1996)
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[Publications] K.Nakano: "Reversible Layer Sliding in Cholic Acid Crystals." Molecular Crystals Liquid Crystals. 276. 129-132 (1996)
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[Publications] K,Sada: "Hydrogen Bond Triple Hooks in an Inclusion Crystal of Cholanamide with Aniline. Structural Difference of Crystals of Cholic Acid and Cholanamide with Same Guest." Molecular Crystals Liquid Crystals. 276. 121-127 (1996)
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[Publications] 宮田幹二: "定序性炭素鎖オリゴマーの自己組織化と包接化" Polymer Preprints,Japan. 45・10. 2490-2491 (1996)
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[Publications] 佐田和己: "胆汁酸ステロイドおよび誘導体の包接化合物" 有機合成化学協会誌. 54・2. 113-121 (1996)
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[Publications] M.Miyata: "Molecular Information and its Expression by Oligomeric Carbon-Chain Compounds ; What Steroidal Molecules Tell Us." Springer-Verlag (Berlin Heidelberg,Germany), 21-30 (1996)
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[Publications] 宮田幹二: "分子認識化学-超分子へのアプローチ" 三共出版, 69-98 (1996)