1996 Fiscal Year Annual Research Report
金属タンパク質/二分子膜フィルムデバイスの設計・構築の応用
Project/Area Number |
08455443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 直敏 長崎大学, 工学部, 教授 (80136530)
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Keywords | 二分子膜フィルム / 相転移 / フェレドキシン / タンパク質 / 電子移動制御 / イオン交換 / 電極デバイス / グルコース酸化酵素 |
Research Abstract |
金属タンパク質/二分子膜フィルム電極デバイスの設計.構築と応用に関する研究を行い以下の成果を得た。 (1)グルコース酸化酵素の電子メディエーターとして二本鎖の脂質骨格を有するフェロセン誘導体(C16GluFc)を新規に合成した。C16GluFcとジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩(2C16N+Br-)との混合膜フィルムをキャスト法によってパイロリティックグラファイト電極上に作製し、電極とC16GluFcとの電子移動反応速度やC16GluFcの膜フィルム内での見かけの拡散係数をパルス電解法によって評価した。キャストした脂質膜の液晶相と結晶相との相転移温度(Tc)前後で見かけの拡散係数が急激に変化することが定量的に示された。その結果、Tc付近でC16GluFc基づくサイクリックボルタモグラムの電流値が急激に変化することがわかった。また、この混合脂質膜フィルム修飾電極上にグルコース酸化酵素を固定化すると、上記の原理によりグルコース酸化酵素の酵素機能を脂質膜の相転移によって制御できることが示された。 (2)鉄-イオウクラスターを電気化学的活性中心に持つフェレドキシンを生体脂質と混合してフェレドキシンを含む二分子膜フィルムを作製し、フェレドキシンの熱安定性及びその電気化学的応答を検討した。フェレドキシンと脂質との混合膜フィルムの熱安定性を正反射紫外可視吸収スペクトルで検討した結果、溶液中のフェレドキシンに比べ脂質膜中に取り込まれたフェレドキシンは熱安定性が極めて向上することが初めて明らかにされた。また、グラファイト電極上にキャストして作製された混合膜フィルムの電気化学応答を検討したところ、未修飾電極上では観測されないフェレドキシンの明確な酸化還元波が観測され、生体脂質膜がフェレドキシンの電極反応に適切な反応場を提供することが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.-E.F.Nassar,J.F.Rusling,M.Tominaga,J.Yanagimoto and N.Nakashima: "Electrochemistry of Cast films of Ferrdcoxin and Lipid Bilayers on Electrodes" J.Electroanal.Chem.(印刷中). (1997)
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[Publications] M.Tominaga,S.Kusano and N.Nakashima: "Tuning of lipid bilayer fluidity regulates mediated electron transfer reactions of glucose oxidase immobilized on lipid bilayer films on an electrode" Bioelectrochem.Bioenerg.(印刷中). (1997)
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[Publications] A-E.F.Nassar,J.F.Rusling and N.Nakashima: "Electron Transfer between Electrodes and Heme Proteins in Protein-DNA Films" J.Am.Chem.Soc.118. 3043-3044 (1996)
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[Publications] M.Tominaga,J.Yanagimoto,A-E.F.Nassar,J.F.Rusling and N.Nakashima: "Incorporation and Direct Electron Transfer of Chlorella Ferredoxin in the Bilayer Films of Cationic Lipids on Electrodes" Chem.Lett.1996. 523-524 (1996)
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[Publications] N.Nakashima,Y.Miyata and M.Tominaga: "Electrochemical Characterization of an Assembled Monolayer of α-Methoxy-ω-mercapto-poly(ethylene glycol) on Gold and Complex Formation of the Monolayer with α-Cyclodextrin" Chem.Lett.1996. 731-732 (1996)
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[Publications] 中嶋 直敏: "脂質二分子膜修飾電極の設計と電気化学特性の制御" 電気化学. 64. 168-171 (1996)