1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属タンパク質/二分子膜フィルムデバイスの設計・構築と応用
Project/Area Number |
08455443
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 直敏 長崎大学, 工学部, 教授 (80136530)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 裕人 長崎大学, 工学部, 助手 (30274624)
|
Keywords | 金属タンパク質 / フェレドキシン / 電子移動反応 / ボルタモグラム / フラーレン / 再構成膜 / ミオグロビン / 電子移動制御 |
Research Abstract |
1. 4種の合成したカチオン性脂質を用いて、これらのキャストフィルムをそれぞれ電極上に作成し、これらをクロレラフェレドキシン(Fd)水溶液に浸漬することにより、脂質フィルム内にFdを取り込み固定化した。固定化されたFdは、水中のFdに比べ、熱に対する安定性が大きく向上した。すなわち、水中のFdは55℃では完全に分解するが、固定化Fdは,60℃においても鉄-硫黄クラースター構造は保持されていた。電気化学的手法を用いて、電気上の4種の脂質フィルム内に固定されたFdの拡散定数(D)および不均一速度定数(k)は、それぞれ(4±2)×10^<-10>cm^2/sおよび(1-1.5)×10^<-4>cm^2/sであった。Dおよびkに対するカチオン性脂質の化学構造依存性は認められなかった。これらの値を基に電極上のFdに対するサイクリックボルタモグラムをシミューレーションプログラムを用いて解析した。掃引速度を変化させても、拡散層の値としてとして実測値ではなく,7.0×10^<-5>cmという値を用いた場合、シミューレーションと実測のボルタモグラムが良く一致することがわかった。このことは電極反応がフィルム全体ではなく、電極界面に近いところで生じていることを示している。以上の結果は、脂質フィルム内に取り込まれたFdは安定性が向上するとともに、電極との速やかな直接反応を行うとともに、膜物性により電子移動制御が可能であることを示している。これらの成果は、金属タンパク質のデバイス化に有用な知見を与える。 2. フラーレンを含むタンパク質・脂質フィルムの設計、作成のための実験としてフラーレン脂質フィルム修飾電極を作成し、この電極系でフラーレンの電子移動が速やかに生じることを見出した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Nakanishi,H.Murakami,T.Sagara,N.Nakashima: "Aqueous Electrochemistry of a C60-Bearing Artificial Lipid Bilayer membrane Film Immobilized on an Electrode Surface" J.Phys.Chem.B. 103. 304-308 (1999)
-
[Publications] N.Nakashima,T.Tokunaga,T.Nakanishi,Y.Nonaka,H.Murakami,T.Sagara: "A Fullerene/Lipid Electrode Device: Reversible Electron Transfer reaction of C60 Embedded in a cast Film of an Artificial Ammonium Lipid on an Electrode in Aqueous Solution" Angew.Chem.Int.Ed.37. 2671-2673 (1998)
-
[Publications] N.Nakashima,Y.Nonaka,T.Nakanishi,T.Sagara,H.Murakami: "A C60-Embedded Artificial Bilayer Membrane Film Electrode Device: Phase Transition Dependent Electrochemistry" J.Phys.Chem.B.102. 7328-7330 (1998)
-
[Publications] N.Nakashima,T.Kuriyama,T.Tokunaga,H.Murakami,T.Sagara: "Electrochemistry of a Fullerene / Ammonium Lipid Composite Film on an Electrode in Water.Generation of C603-" Chem.Lett.1998. 633-634
-
[Publications] 冨永昌人,中嶋直敏: "分子集合系での生体機能分子の電子移動反応制御" 表面. 36. 179-187 (1998)
-
[Publications] 中嶋直敏: "表面技術便覧" 日刊工業新聞社, 1836 (1998)