1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋田 重誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10251498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 圭介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40211461)
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Keywords | 水稲 / 稈 / ヘミセルロース / 挫折抵抗 / 登熟期 |
Research Abstract |
本年は、水耕状態で水藤品種を品種育て、出穂期から登熟期にかけて桿の強度、重量の変化を測定し、登熟期の桿においてヘミセルロースの移動が激しいM401や短銀坊主などの品種とそうでない品種があることを見いだした。また、稈の重量の変化に深く関与する可能性をもつヘミセルロースとこの分解に関わるとされる(1-3,1-4)-β-glucanaseに着目し、その遺伝子がイネの他の部位に比べ、登熟期の桿で強く発現していることを確認した。 以上の結果は、イネの桿強度の低下の要因として細胞壁構成成分、特に、ヘミセルロースの変化が関わっているいる可能性を示唆しており、これが分解されることが、稈強度の低下の一因となっている可能性を強く支持するものである。また、この遺伝子には、複数のisoenzymeがあることも明らかとなり、それぞれのisoenzymeが、いつ、どこで、いかなる目的のために発現しているのかを特定していくことがこれからの主な課題となろう。また稈で分解されたヘミセルロースが穂へ再転流している可能性が強く、その転流機構の解明も重要な課題となる。以上のように、本年の結果は、このような水稲の桿におけるヘミセルロースの動態が、細胞壁と収量性両者に関わる可能性を示しており、ヘミセルロースの細胞壁強度と収量性の間のトレードオフに対する関わりを明らかにすることが、挫折倒伏性の最適制御の基礎をなすものであるとの仮説を証明するための重要な基礎であることを示した。
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