1996 Fiscal Year Annual Research Report
塩類土壌地帯における持続的作物栽培システムの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08456011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
稲永 忍 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (40124664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 憲一 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 講師(COE研究員)
杉本 幸裕 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (10243411)
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Keywords | 塩類土壌 / 持続的作物栽培システム / 除塩膜 / カルシウム塩施用 |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は以下の通りである。 1.ナトリウム塩によるダイズ幼根の伸長抑制に対するカルシウム塩の軽減効果 1)ダイズ幼根の伸長は、蒸留水に塩化ナトリウム(NaCl:25および100mM)を添加すると、抑制され、ついには停止した。その抑制程度はNaCl濃度が高いほど大きかった。 2)しかし、培地に塩化カルシウム(CaCl_2:0.1、1および5mM)を共存させると、ダイズ幼根の伸長抑制は軽減され、その程度はCaCl_2濃度が高いほど大きかった。この軽減効果は、CaCl_2を当初から添加した場合にのみ認められた。 3)これは、カルシウムがNaCl培地に共存すると、ダイズ幼根の伸長域さらには成熟域へのNa^+の流入が抑制されるとともに、幼根から培地へのK^+の流失も抑制されるためと考えられた。 2.除塩膜を利用した栽培システムの開発 1)低エネルギーで塩水から淡水を造るには、不織布(以下、差温駆動型除塩膜と呼ぶ)のほうが逆浸透膜より適していることを認めた。 2)この差温駆動型除塩膜で底を覆った円筒容器にバイ-ミキュライトを詰め、それを3%NaCl溶液の水面上に浮かべ、ナタネ、コムギ、ダイズを栽培したところ、いずれの作物も発芽から成熟に至るまで正常に生育し、淡水栽培した対照区の約30の成育量を示した。
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