1997 Fiscal Year Annual Research Report
塩類土壌地帯における持続的作物栽培システムの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08456011
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Research Institution | Arid Land Research Center, Tottori University |
Principal Investigator |
稲永 忍 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (40124664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 憲一 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 講師(COE研究員)
杉本 幸裕 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (10243411)
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Keywords | 塩水 / 淡水化 / 太陽エネルギー / 植物栽培 / 蒸発槽 / 栽培ポット / マルチ / 温度差 |
Research Abstract |
本研究では太陽エネルギーを用い、高度な技術や高い造水コストを必要とせず、塩水の淡水化と植物の栽培が同時に行えるシステムを考案した。それは、塩水蒸発槽と栽培ポットから構成され、日中の太陽熱を吸収した塩水蒸発槽は、夜間において水蒸気を蒸発させ、栽培ポットで凝結した水を培土が吸収するという原理に基づくものである。 このシステムで、チンゲンサイとナタネの生育が認められたことにより、温度と水分量の増加の点から性能を明らかにすることを試みた。その結果、夜間においては塩水蒸発槽の温度が栽培ポットの温度を上回り、負の温度差が生じることにより水分が獲得された。反対に、日中は栽培ポットの温度が塩水蒸発槽の温度を上回る正の温度差が生じるため水分は損失した。栽培ポットの水分量は、獲得と損失を繰り返し、獲得量が損失量を上回ることによって増加することが確認された。 塩水蒸発槽と栽培ポットの日中の温度差を小さくし、夜間の温度差を大きくするために種々の検討を行った結果、マルチで塩水蒸発槽および栽培ポットを覆うことが有効であった。また、栽培ポットの底面積や培土量を大きくすることにより、さらに多くの水分量を確保することが可能となった。 以上の結果、本研究で考案した塩水利用植物栽培システムで植物の栽培が可能であることが認められた。
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