1997 Fiscal Year Annual Research Report
根圏ストレス条件下における作物生産制御機構の定量的研究
Project/Area Number |
08456012
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Research Institution | Faculty of Life and Environmental Science, Shimane University |
Principal Investigator |
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60186723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和広 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (90234814)
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Keywords | 土壌ストレス / 生産 / 乾燥 / 異常還元 / 土壌硬度 / 気孔 / 水ポテンシャル / 蒸散 |
Research Abstract |
イネについて、土壌乾燥、土壌の嫌気的異常還元、土壌密度増加のストレスを与え、葉面積、気孔開閉、蒸散速度、乾物生産がどのような要因で制御されるのかを明らかにした。これらの土壌ストレスはいづれも葉身水ポテンシャルを低下させた。しかし、葉身水ポテンシャルの低下は土壌密度の増加の場合のように直接的に各機能に影響する場合と、土壌乾燥や異常還元のように根のストレスが直接的に強く影響していると見なされる場合があった。これらは、いづれも根が不良環境にさらされることによって根の発達が劣り吸水機能が低下したり、根からの何らかの制御物質の生成が促進されることによって起きたと考えられた。 土壌乾燥と異常還元は、気孔開閉への水ポテンシャル低下の影響を約4割近く強めることが明らかになった。また、根からの何らかの制御物質の移行は、導管液を吸収させた健全葉の気孔が閉鎖したことからも裏付けられた。ただし、物質の同定には、特にイノムアッセ-の分析過程をさらに検討する必要があると考えられた。また、土壌硬度の増加は根の発達不良をもたらし、土壌乾燥が加わると吸水を制限し、気孔開閉、葉面積の抑制によって蒸散と乾物生産を最大6割程度低下させた。 土壌乾燥がどのような過程で吸水域を変化させ、それに根がどのように対応していくかを定量的に表した。その結果、土壌乾燥が蒸散速度と根の伸張に影響し、さらに根の伸張が根の吸水域を決めるという過程が示された。 以上から、土壌ストレスが作物の生産過程に及ぼす要因を定量的に表すための基礎が確立された。
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Research Products
(1 results)