1996 Fiscal Year Annual Research Report
高夜温条件下におけるCAM型光合成の制御機構に関する研究
Project/Area Number |
08456014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野瀬 昭博 佐賀大学, 農学部, 助教授 (80045137)
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Keywords | CAM型光合成 / 高夜温 / 解糖系 / ホスホフルクトキナーゼ / アイソザイム / 細胞内部位 |
Research Abstract |
パインアップル,コダカラベンケイ,セイロンベンケイの3種類のCAM植物を供試し,夜間のCO_2固定の基質であるPEPの供給と昼間のリンゴ酸の脱炭酸の結果生じるピルビン酸の代謝の係わる解糖系及び有機酸の合成・分解に係わるミトコンドリアの呼吸系について,その中間代謝産物の動態と関連する制御酵素について検討中である.その中で,特に以下のような興味ある事実が明らかになりつつある. 1.グルカンあるいはグルコースから始まりPEPへいたる解糖系のフラクトース6リン酸からフラクトース1,6二リン酸への転換を触媒する酵素であるホスホフルクトキナーゼ(PFK)にリン酸供与基質特性を異にする3種類のアイソザイムが存在する.つまり,リン酸供与体としてピロリン酸(PPi),アデノシン三リン酸(ATP),グアノシン三リン酸(GTP)を用いる3種類のアイソザイムが存在する. 2.PFKの3種類のアイソザイムは,植物の種で特異的に存在している.つまり,ATP-PFKとGTP-PFKは供試した3種類のCAM植物に共通に存在する.しかし,PPi-PFKはパインアップルにのみ活性が見られ,2種類のベンケイソウには認められない. 3.3種類のPFKアイソザイムの細胞内分布位置にも種特異性が存在する.パインアップルでは,3種類のPFKアイソザイムが細胞質あるいはプラスチド系細胞小器官の流動層に分布する.コダカラベンケイとセイロンベンケイでは,プラスチド系細胞小器官の流動層に分布する.コダカラベンケイとセイロンベンケイでは,プラスチド系細胞小器官も膜あるいは膜表面に存在する.さらに,コダカラベンケイではATP及びGTP-PFKは,膜に関連した形で80〜90%のPFKが存在し,残りは膜表面に付着する形で存在する.セイロンベンケイでは,ATPとGTP-PFKが膜に関連した形で60%前後分布し,残りは膜表面に付着する形で存在する.
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Research Products
(1 results)