1997 Fiscal Year Annual Research Report
高夜温条件下におけるCAM型光合成の制御機構に関する研究
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08456014
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野瀬 昭博 佐賀大学, 農学部, 助教授 (80045137)
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Keywords | CAM型光合成 / 高夜温 / ホスホフルクトキナーゼ / 温度 / パインアップル / セイロンベンケイソウ / 解糖系 / pH反応 |
Research Abstract |
CAM型光合成の高夜温反応特性を異にするパインアップルと2種類のベンケイソウについて,夜間の炭酸ガス吸収の基質であるPEP(ホスホエノールピルビン酸)の供給及び昼間のPEPの糖への変換を制御すると予測されるホスホフルクトキナーゼ(PFK)の抽出特性について実験を行った。等電点電気泳動法による解析の結果では,パインアップルのピロリン酸依存PFK(PPi-PFK)は昼間にはpIが4.88と5.34の2種類の等電点を示し,夜にはpIが4.80の1種類に変化することが明らかになった.また,イオン交換クロマトグラフィによるPPi-PFKの分離において,昼間のPPi-PFKは2種類のタンパク質として溶出し,各タンパクをゲル濾過クロマトグラフィで精製すると,それぞれの溶出時間が異なった.現在SDS-PAGEを用い各タンパクの分子量の同定を行っている最中であるが,以上の結果は今まで単一のタンパクとされてきたパインアップルのPPi-PFKに2種類のアイソザイムが存在する可能性と,あるいは単一のタンパクが昼間ではサブユニットへの解離するという動的な日変化が生じている可能性を示唆するものである. また,粗抽出液の状態で測定したパインアップルのPPi-PFKと2種類のベンケイソウのATP依存PFK(ATP-PFK)の糖新生方向でのpH反応性では,PPi-PFKはpH7から8までの広い範囲で安定した高い活性を示し,ATP-PFKはpH8から7へ向けて明らかな低下を示した.至適温度もパインアップルでは35〜40℃,ベンケイソウでは30℃と異なっていた. 以上の結果は,植物の解糖系の律速酵素と認められてきたPFKが,CAM型光合成の高夜温反応性の種間差をもたらすひとつの部位となっている可能性を示唆している.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Akihiro Nose and Kan'n Kcleyashi: "Teuperature and pH responses of phosphofruc to kinase of three CAM plants,A.comosus,Kpinnata,and K.daipremunfiana" Research in Photosynthesis. 21(予定). (1998)