Research Abstract |
^<45>Ca溶液をスポット状にして,主葉脈上ならびに枝脈間に施与し,オートラジオグラフィーを作成した。別に主脈上に帯状に施与して,スポット状施与と比較した。その結果,主脈上に施与した場合には,枝脈間に施与した場合よりも^<45>Caの吸収・移動が多く,葉脈を伝わって^<45>Caが葉身の先端方向へ移動する様子が良く観察できた。また,枝脈間スポット状施与と主脈上の帯状関与の結果からも,葉の表面より裏面からのv5Caの吸収・移動が多いことがわかった。以上のように,Caは葉の裏,特に葉脈部分に与えられた場合,多く吸収・転流されることがわかった。顕微鏡観察の結果,葉の裏には気孔が表よりも高密度で分布している野菜が多かったが,気孔の大きさや密度とCa吸収の多少との関係は認められなかった。 ^<15>Nを利用して,苗,開花期,果実肥大期,果実収穫期に与えた窒素の吸収・分配並びにその後の転流を調査した。尿素の吸収量は生育段階によって変化し,幼苗期には硝酸の25%であったが,その後の生育段階では80%まで増加した。同様に,尿素の転流は苗では制限されたが,その後の生育段階では硝酸と同じように早かった。施与直後の^<15>Nは,尿素と硝酸では葉身に,アンモニウムでは茎と果実に多く検出された。開花期,果実肥大期に吸収した^<15>Nは,それぞれ収穫期には果実並びに上位部分に多く転流していた。以上のように,トマトは栄養成長期にあたる苗の段階では尿素は吸収,転流が少なく,同化も遅いので窒素源にはなりにくいが,生殖成長期以降の段階では,吸収,転流,同化は栄養成長期のそれと大きく異なり増加するので,この段階では尿素も良い窒素源になると考えられる。
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