1997 Fiscal Year Annual Research Report
エンバク冠さび病における品種特異的抵抗性遺伝子発現の分子機構解析
Project/Area Number |
08456026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
真山 滋志 神戸大学, 農学部, 教授 (00112251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 雅史 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (00212233)
南森 隆司 神戸大学, 農学部, 助教授 (00180555)
中屋敷 均 神戸大学, 農学部, 助手 (50252804)
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Keywords | エンバク冠さび病 / 病害抵抗性 / エリシター / PRタンパク / 活性酸素 / ファイトアレキシン |
Research Abstract |
エンバク冠さび病における品種特異的抵抗性発現における活性酸素の役割、およびPR タンパクや認識情報伝達遺伝子のクローニングとその制御機構の解析を目標に研究を行った。その結果、1)オートムギ(IowaX469)の抵抗性発現を始動する特異的エリシター・Victorinによる処理葉のλ-ZAP cDNA Libraryを作成し、cDNA Libraryからクローンのシーケンスを行い、トウモロコシやイネのHeat Shock protein70、ジャガイモのwound-induced gene-win1,イネのchilling-inducible gene、またコムギのzinc finger protein 1などストレス応答反応に関与する遺伝子のホモログの高いクローンを得た。2)本病の品種特異的抵抗性の発現に伴って誘導されるキチナーゼを純化、単離し、そのN末端のアミノ酸配列を決定した。決定したアミノ酸配列と植物キチナーゼの保存アミノ酸配列に基づいたプライマーを合成し、PCRにより既存のキチナーゼ遺伝子とハイブリダイズする増幅断片を得た。これらの増幅断片を順次クローニングして塩基配列の決定したところ、キチナーゼ遺伝子をクローニングした。3)オートムギを冠さび病感染、エリシターであるVictorinおよびキチンおよびキトサンオリゴマー(6畳体)で処理すると、活性酸素を含む電子供与体と反応して不溶性のブルーフォルマザンを形成するニトロブルーテトラゾリウムに陽性で、電子供与体のスカベンジャーであるTironで処理すると活性酸素の放出は抑制されファイトアレキシン生産も抑制された。また、4)エリシター処理細胞の死にはアポトーシス現象のDNAラダー化が誘導されることが判明し、アポトーシスの誘導は特異的エリシター・Victorinの感受性品種に特異的であり、キチンおよびキトサンの各オリゴマーによる抵抗性反応、また非親和性および親和性菌の接種にパラレルに応答することを確認した。エンバク冠さび病におけるアポトーシスの制御遺伝子が本病の抵抗性発現を制御する可能性が示唆された。
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[Publications] Ishihara,A.: "Induction of Hydroxycinnamoyl-Co A : Hydroxyonthranilate N-Hydroxycinnamoyl-transferase (HHT) activity in oat leaves by Victrin C" Zeitscirift fur Naturforschang. 52c. 756-760 (1997)
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[Publications] Ishihara,A.: "Induction of hydroxyanthraniLate hydroxycinnamoyl transferase activity by oligo-N-acetylchitooligosaccharides in oats" Phytochemistry. (in press). (1998)