1998 Fiscal Year Annual Research Report
農林地生態系の地球化学的物質循環速度調整能とそのモデル化
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08456038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
波多野 隆介 北海道大学, 農学部, 教授 (40156344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 夕美子 北海道大学, 農学部・附属苫小牧演習林, 教務職員 (60221397)
倉持 寛太 北海道大学, 農学部, 助手 (00225252)
原口 昭 新潟大学, 理学部, 助教授 (50271630)
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部・附属天塩演習林, 助教授 (20187230)
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Keywords | 物質循環 / 生態系 / 酸性雨 / 二酸化炭素 / 亜酸化窒素 / メタン / 硝酸溶脱 / 土壌構造 |
Research Abstract |
1) 北海道の灰色低地土タマネギ畑において、年間の暗渠排水からの窒素流出を調査した。暗渠排水中の硝酸態窒素濃度は常に10mgL^<-1>以上であった。作物生育期(5〜9月)と休閑期(10〜2月)の暗渠排水中の硝酸態窒素濃度は流量の増加とともに上昇した。融雪期(3〜4月)は、暗渠排水中の硝酸態窒素濃度は流量の増加とともに低下した。これらの暗渠流量と暗渠排水中の窒素濃度は分数関数で回帰された。その関係を用いて、年間の暗渠からの窒素流出量を算出した。その結果、施肥窒素量の58%に相当する179kg ha^<-1>の窒素が暗渠から流出していたと見積もられた。大雨時と融雪時に暗渠から多量の窒素が流出していた。タマネギの窒素吸収量は、施肥窒素量の43%に相当する133kgha^<-1>であった。また、タマネギ収穫から翌年の4月までに95kgha^<-1>の窒素が流出し、そのうちの21kgha^<-1>は、融雪期のたった11日間に流出していた。積雪寒冷地帯では,余剰の施肥窒素は融雪期に多量に流れ出ることが示された。 2) 森林が83%、農地が17%を占める12200haの流域をもつ道央の河川において、融雪期の河川への全窒素負荷量に対する森林、農地の面源およびゴミ処理場などの点源の寄与率を見積もった。森林と農地の窒素流出量は、流出水量に平均濃度を乗じて求めた。流出水量は、河川流量の増加量を森林と農地の面積比で比例配分して求めた。点源からの窒素流出量は、実測した。全窒素負荷量に対する森林、農地および点源の寄与率は、それぞれ3、6、91%と見積もられた。点源がなければ、河川水の全窒素濃度は北海道の森林河川の全窒素濃度とほぼ同等の0.16mgNL^<-1>と推定され、農地排水による河川水の悪化はほとんど認められない。河川水の窒素汚染源は山の中に創られたゴミ処理場からの排水であった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hatano,R.: "Regression model to predict travel time for chloride leaching throughout pedons using soil morphological characteristics." Nutrient Cycling in Agroecosystems. 50. 267-269 (1998)
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[Publications] Hayashi,Y.: "Annual nitrogen leaching to subsurface drainage water from a clayey aquic soil cultivated with onions in Hokkaido,Japan." Soil Science and Plant Nutrition. (in press).
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[Publications] 細淵幸雄: "火山放出物未熟土壌におけるTDRを使った現場での不飽和透水係数の測定" 日本土壌肥料学雑誌. 69. 663-635 (1998)
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[Publications] 細淵幸雄: "火山放出物未熟土壌に立地する落葉広葉樹林生態系における酸性降下物の影響と塩基の循環" 日本土壌肥料学雑誌. (印刷中).
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[Publications] 倉持寛太: "草地酪農地域の水質への草地負荷寄与率の推定" 土・水研究会資料. 15. 36-47 (1998)
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[Publications] Shibata,H.: "Proton budgets of forest ecosystems on volcanogenous regosols in Hokkaido,Nothern Japan." Water,Air and Soil Pollution. 105. 63-72 (1998)