1997 Fiscal Year Annual Research Report
メチロトローフ酵母の細胞機能を利用した生体触媒系の構築と分子基盤
Project/Area Number |
08456051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 暢夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 助手 (00283648)
阪井 康能 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60202082)
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Keywords | メタノール資化性酵母 / Candida boidinii / ギ酸メチル / ギ酸デヒドロゲナーゼ / 異種遺伝子発現系 / バイオコンバージョン / アルコールデヒドロゲナーゼ / ペルオキシソーム |
Research Abstract |
ギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)は、メタノールで誘導したときに生産される酵素で、NADを補酵素としてギ酸を二酸化炭素へ酸化する。二酸化炭素は容易に反応系外へ除去できることから、C.boidinii FDHは、生体触媒還元反応におけるNADHの再生系に利用されている。また、FDHはメタノール誘導時には、菌体内タンパクの20%を占める誘導酵素である。C.boidiniiゲノムDNAより、FDHをコードするFDH1遺伝子をクローニングしてその一次構造を決定すると同時にその制御機構を解析した。その結果、FDH1プロモーターは、メタノール誘導性の強いプロモーターであると同時に、ギ酸によって誘導されていることがわかった。また、異種タンパクの発現には、メチルアミンやコリンなどを窒素源として用いてギ酸を生成せしめることにより、より高度の高発現ができるようになった。また、遺伝子破壊株の生育特性より、FDHの生理的な意義は、メタノール生育時におけるエネルギー獲得と同時に、ギ酸の毒性を除去することにあることがわかった。一方、先にホルムアルデヒドを代謝する新たな酵素として、ギ酸メチルシンターゼ(MFS)を見いだしている。メタノール資化性酵母菌体より、MFSを精製し、ミトコンドリア・細胞質に存在する2種類のMFS遺伝子をクローニングした。その結果、MFSはアルコールデヒドロゲナーゼの一種であることがわかり、ミトコンドリア局在型のものにはミトコンドリアへ輸送されるシグナル配列を確認した。さらにメタノール資化性酵母が持つMFS活性を利用して、水溶液中に135mMのギ酸メチルを生産することに成功した。これは、アルコールデヒドロゲナーゼ反応を水溶性のエステル合成へと利用した最初の例となった。さらに、ペルオキシソーム内の空間(最大で細胞内空間の75%以上)を拡張して異種タンパクを蓄積する菌体内での空間を供給するために、AODとDHASの2重遺伝子破壊株を作製した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.P.Murdanoto et al.: "Purification and Properties of Methyl Formate Synthase,a Mitochondrial Alcohol Dehydrogenase.Participating in Formaldehyde Oxidation in Methylotrophic Yeasts." Applied and Environmental Microbiology. 63・5. 1715-1720 (1997)
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[Publications] A.P.Murdanoto et al.: "Ester Synthesis by NAD+-Dependent Dehydrogenation of Hemiacetal Production of Methylfornate by Cells of Methylotrophic Yeasis." Bioscience,Biotechnology,and Biochemistry. 61・8. 1391-1393 (1997)
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[Publications] Y.Sakai et al.: "Regulation of the Formate Dehydrogenase Gene,FDH1,in the Methylotrophic Yeast Candida boidinii and Growth characteristics of an FDH1-Disrupted Strain on Methanol,Methylamine,and Choline." Journal of Bacteriology. 179・14. 4480-4485 (1997)
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[Publications] Y.Sakai et al.: "Green fluorescent protein (GFP) fluorescence through the Rhodamine channel after excitation using the FITC liner set." Technical Tips Online. T01319 (1997)
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[Publications] 阪井康能: "ペルオキシソームはどのようにしてできるのか-酵母ペルオキシンとペルオキシソーム膜タンパク-" 化学と生物. 35・10. 687-695 (1997)
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[Publications] Y.Sakai et al.: "Purification and Properties of Cephalosporin-C Deacetytase from the Yeast.Rhodotoruta glutinis 38B1 Useful for Bioconversion of 7-Aminocephalosporanic Acid Derivatives." Journal of Fermentation and Bioengineering. 85・1. (1997)
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[Publications] N.Kato et al.: "Trends in Protein Research" Heterotogous gene expression system developed in the methylotrophic yeast.Candida botdinii for useful enzyme production., 6 (1997)