1997 Fiscal Year Annual Research Report
有機化学的アプローチによる酸素・触媒反応機構の基礎的研究
Project/Area Number |
08456060
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小田 順一 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 博章 京都大学, 化学研究所, 助手 (90204487)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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Keywords | 有機合成化学 / タンパク質工学 / 酸素反応機構 / X線結晶構造解析 / 遷移状態アナログ / グルタチオン / 立体特異性 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、ATPを補酵素として用いる反応として、異なる基質間にCN結合を形成する3つのリガーゼ、グルタチオン合成酵素、γグルタミルシステイン合成酵素、アスパラギン合成酵素を、また、NADPHを用いる反応として、トロピノンから互いにジアステレオマ-の関係にあるトロピンとψトロピンを生じる2つのトロピノン還元酵素を取り上げ、X線結晶解析による立体構造を基に、遺伝子工学を用いて部位特異的変異導入を行いながら、有機合成化学的なアプローチによって反応機構を明らかにするための研究を行った。得られた成果は以下の通りである。 1.γグルタミルシステイン合成酵素の分子表面に存在するシステイン残基をセリン残基に変換することにより、同酵素を結晶化することに成功した。同酵素の遷移状態アナログの合成にも成功し、活性中心において厳密に認識されている部分構造のモチーフを明らかにすることが出来た。 2.互いに立体特異性の異なる2つのトロピノン還元酵素については両者とも結晶が得られ、多重同形置換法を用いて独立にX線結晶解析を行い、立体構造を決定することが出来た。その結果、厳密な基質特異性の違いは、基質結合部位のわずかな違いによるものであることが判明した。 3.アスパラギン合成酵素の活性中心を形成していると予想されるアミノ酸残基を部位特異的に変換することにより、活性に必須なアミノ酸残基を同定することに成功した。また、同酵素の遷移状態アナログの合成にも成功し、得られた遷移状態アナログと酵素との複合体のX線結晶構造解析も現在進行中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 平竹 潤: "Amino phosphinic and Aminoboronic Acid As a Key Element of Transition-State Analegue Inhibitor of Enzymes" Biosci.Biotech.Biochem.61(2). 211-218 (1997)
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[Publications] 加藤博章: "動的光散乱法を用いたタンパク質の結晶化の支援法" 日本結晶学会誌. 39(4). 315-319 (1997)
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[Publications] 中津 亨: "Crystal Structure of Asparagine Synthetase reveals a close evolutionary relationship to class II aminoacyl-tRNA synthetase" Nature Struct.Biol.5(1). 15-19 (1998)
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[Publications] 中島敬二: "Crystal structures of two tropinone reductaces : different reaction stereospeciticities in the same pretein fold" Proc.Natl.Acad.Soc.USA. (in press).
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[Publications] Yamashita,Atsuko: "Crystallization and prelininary X-ray study of tropinone reductase II." Acta Crystallogr.D. (in press).