1997 Fiscal Year Annual Research Report
根圏微生物刺激による植物樹液内活性ペプチド及びオリゴ糖の性状解析と病態診断
Project/Area Number |
08456061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 昭雄 大阪大学, 工学部, 教授 (30115844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶山 慎一郎 大阪大学, 工学部, 助手 (20243496)
福崎 英一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (40273594)
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Keywords | 根圏微生物 / シグナル分子 / 2-aminobenzamide / 配糖体 |
Research Abstract |
根は植物体を立脚させ,土壌から水分と無機養分を吸収する器官であるとともに,土壌中に存在する様々な微生物との相互作用により根圏を形成する器官とも考えられる。一方,根圏微生物は,様々な低分子有機化合物を生産し,これによって植物の成長・代謝等に影響を与えていると考えられるが,これら化合物の根による吸収,代謝,蓄積に関する詳細な研究はいまだなされていない。我々の研究室ではこれまでに,イネ(ヒノヒカリ)が,根圏由来の放射線代謝産物2-aminobenzamideを選択的に吸収するという事実を明らかにしてきた。そこで,吸収された2-aminobenzamideが植物体内でどのように代謝・変換されているのかを考察するために代謝産物の単離・同定を試みた。2週間貧栄養明条件下で生育させたイネ(ヒノヒカリ)の根部を2-aminobenzamide水溶液(500ppm)に浸漬した。48時間後,根部のみをMeOHにより抽出し,HPLC分析に供したところ,3種の代謝物(o-ABm-1,2,3)が確認された。このれらの化合物を逆相カラムクロマトグラフィー及び分取HPLCにより単離し,各種機器分析により構造解析を行った結果,o-ABm-1,o-ABm-2はいずれも2-aminobenzamideの配糖体であることが分かり,o-ABm-1はN-β-glucopyranosyl-2-aminobenzamide,o-ABm-2はN-α-glucopyranosyl-2-aminobenzamideであることが明らかになった。両化合物は,水溶液中で下記に示すような相互変換が起こることが分かり,また,酸条件下で容易に糖が遊離することも明らかになった。o-ABm-3も同様に2-aminobenzamideの配糖体であり,LC-MS分析の結果2糖であることがわかった。構成糖を調べるために,酸処理物のTLC分析を行った結果,gentiobioseであることが示唆された。
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