1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456071
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
矢島 崇 北海道大学, 農学部, 助教授 (90142702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
車 柱榮 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (60301876)
清水 收 北海道大学, 農学部, 助手 (20178966)
中村 太士 北海道大学, 農学部, 助教授 (90172436)
澁谷 正人 北海道大学, 農学部, 講師 (10226194)
高橋 邦秀 北海道大学, 農学部, 教授 (80281707)
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Keywords | 地表攪乱 / 森林再生 / 更新立地 / 水ポテンシャル |
Research Abstract |
本年度は、渡島駒ヶ岳の軽石堆積地において、土壌の水分条件を明らかにするとともに、再生林を構成する主要樹種の水ストレスと光合成への影響を検討するために、樹木の水ポテンシャルと光合成速度について測定を行った。 データロガー付きテンシオメーターを、標高500mと700mに設置した。測定期間は1998年5月から同年11月までである。樹木の水ポテンシャルは、カラマツ、シラカンバ、ドロノキを対象とし、標高500mと700mで各樹種7個体ずつを選んで、一年生以上の枝を採取し、プレッシャーチャンバーで計測した。積雪期を除き、夜明け前と日中に測定を行った。7月に、日中の光合成速度を現地でポロメーターによって測定した。 土壌は標高が高いところおよび表層でpF値が高かったが、最大で2.5であり、極端な乾燥状態は認められなかった。しかし、樹木の夜明け前の水ポテンシャルは各樹種とも-0.5MPa前後でやや低く、標高700mで500mより低かった。特にカラマツではこの値が季節とともに低下し、慢性的水ストレス下にあったと考えられた。生育期間の日中はカラマツがもっとも乾燥しており、ドロノキは対照的に比較的高い水ポテンシャルを維持していた。水欠差状態での光合成速度には樹種間の差が見られなかったが、水分ストレスのない状態で計測された従来の報告と併せると、カラマツは水分ストレス下でも光合成速度が低下しにくく、ドロノキは低下しやすいということが考えられ、乾燥に対する異なる生理的性質が示唆された。すなわち、カラマツは低い水ポテンシャルでも生理的機能を維持する乾燥耐性的樹種であり、逆にドロノキは樹体内の水分状態を有利に保とうとする乾燥回避的な樹種と考えられた。シラカンバは両者の中庸的な性質と考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 笹岡英二: "北海道駒ヶ岳における天然生カラマツ林の林分構造と成立過程" 日本林学会誌. 81(1). 22-28 (1999)
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[Publications] Guoting Yang: "The occurrence and diversity of ectomycorrhizas of Larix kaempferi seedings on a volcanic mountain in Japan" Mycol.Res.102(12). 1503-1508 (1998)