1997 Fiscal Year Annual Research Report
渇水時における都市近郊水源林の水資源供給量の評価に関する研究
Project/Area Number |
08456076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴野 博文 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00143412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 久義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80191089)
桐村 剛 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30107411)
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Keywords | 水資源 / 水源林 / 都市近郊林 / 渇水 |
Research Abstract |
瀬戸市・木曽川流域をモデルとして渇水の問題点を具体的に探り、都市近郊林の水源林としての機能について明らかにしていくことを目標とした。成果は以下のとおりである。 1)前年に続いて、愛知演習林3流域の60年の降雨・流出資料を分析し、年流量の微少な増大を確認した。これは年損失量の減少によってもたらされたものである。短期水収支を応用した結果、経年的に蒸発散は増大しており、年損失量は深部浸透の減少によってもたらされると結論づけた。土壌が森林の生育に伴って乾燥傾向を強めているためと判断されるが、熱帯の水文観測から報告されている事実とよく一致する。このことは、森林のもつ水源涵養機能が総流量についてマイナスと評価されていた従来の定説と反して、総流量を増大させるという結論を導く可能性とつながって、水資源創出のために森林整備が有効であることの有力な証となりうると判断している。定説との整合をとるために流域のスケールのなかで上述の現象を位置づけた。 2)前年に続いて水資源問題に関する研究文献の整理検討を行った。木曽川流域における人口の移動、水需給関係の統計資料の整理、平成6年夏の東海地方渇水の際の行政および住民の対応の整理を行った。さらに、瀬戸市並びに愛知用水の水源地帯における水源林管理についての実態調査を実施した。水質と関わる産業廃棄物処理施設をめぐる問題について聞き取り調査を進め、愛知県内の廃棄物処理の実態と住民の対応の事例を明らかにした。
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