1998 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテクノロジーによる菌根性イグチ類の育種技術の開発
Project/Area Number |
08456078
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大政 正武 信州大学, 農学部, 教授 (60281036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和夫 東京大学, 農学部, 教授 (80162931)
福田 正樹 信州大学, 農学部, 助教授 (40208963)
柴田 久夫 信州大学, 農学部, 教授 (40026430)
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Keywords | ハナイグチ / ヌメリイグチ / アミハナイグチ / プロトプラスト再生株 / 形態変異 / 細胞学 / 菌根合成 / マイクロライドフェノール性物質 |
Research Abstract |
イグチ類の菌根性きのこのヌメリイグチについて、プロトプラスト再生株の変異性を検討した結果、腐生性きのこに比べて顕著な変異が見られた。菌叢形態の変異で再生株は数グループに分かれた。スポットテストによる酸化酵素活性の検討でも変異が見られ、形態変異との間に関連性が観察された。 ヌメリイグチの液体培養のコロニーの細胞の核数を検討した結果、一つの巨大コロニーに細胞当たり1核から数核のものまで存在することが明らかになった。しかも核数の分布に菌株間の違いが認められた。このことはヌメリイグチの1核化が比較的容易に行えることを示唆している。又、プロトプラスト再生株を分離と培養を繰り返して1核のみからなるコロニーも得られた。 以上の知見は、培養菌糸から出発してプロトブラストや交配を利用するヌメリイグチの育種が可能なことを示している。ハナイグチやアミハナイグチでも同様に可能と思われる。 アカマツの無菌的に育成した実生にヌメリイグチ、ハナイグチを接種して菌根の合成に成功した。ハナイグチはカラマツ林のきのことして知られているが、アカマツとも菌根を形成することが分かった。この菌根合成の際にパーライトがバーミキュライトと培地基材として同等以上の成績を示した。ヌメリイグチ、ハナイグチ、アミハナイグチの菌根菌の生育の温度依存性を明らかにした。 イグチ類のキアミアシイグチから、新しいマクロライドフェノール性物質を抽出し構造決定することができた。又、菌根菌のケロウジからはこれまでにない新しいタイプの抗細菌性物質を抽出し、構造を決定した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 大政 正武: "Preparing and regenerating protoplasts of three fungi of Boletaceae" Mycoscience. 40(印刷中). (1999)
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[Publications] 山田 明義: "Ectomycorrhiza formation of Tricholoma matsutake on Pinus densiflora" Mycoscience. 40(印刷中). (1999)
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[Publications] 柴田 久夫: "Oratipolide, a novel Phenolic Metabolite from the Basidiomycete, Boletus ornatipes" Biosci.Biotechnol.Biochem.62. 1432-1434 (1998)
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[Publications] 福田 正樹: "シイタケ遺伝資源の多様性" 日本農芸化学会誌. 73(印刷中). (1999)
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[Publications] 鈴木 和夫: "Biological species of Armillaria in Japan." Plant Dis.82. 537-543 (1998)
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[Publications] 大政 正武: "林業技術ハンドブック" 林野庁監修(社)全国林業改良普及協会, 1969 (1998)
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[Publications] 鈴木 和夫: "森林における生物の多様性" 東京大学農学部編 朝倉書店, 132 (1998)