1996 Fiscal Year Annual Research Report
DNA解析と耳石日齢査定によるウナギの接岸回遊機構の解明
Project/Area Number |
08456094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚本 勝巳 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10090474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
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Keywords | ウナギ / 接岸回遊 / mtDNA / D-loop / 集団解析 / 耳石 / 日周輪 / 変態 |
Research Abstract |
本研究の目的はDNA解析と耳石日齢査定に基づいてウナギの接岸回遊機構を明らかにし,これらをシラスウナギ資源の適性管理と持続的利用のために資することである。計画初年度に当たる本年は,次の項目について研究した。以下に経過と成果を記す。 1,耳石日周輪による接岸回遊機構の解析:種子島においてニホンウナギのシラスを遡上期の前・中・後期に採集した。これらについてSEMを用いて日齢査定を行ったところ,ウナギの接岸時の日齢はほぼ6ヶ月であることがわかった。また孵化後約3ヶ月前後に変態期に対応すると考えられる日周輪幅の広い帯域の出現することがわかった。このことは現在耳石中のSr/Ca比の解析により確認を急いでいる。これにより,今後変態前の成長率と変態時期,接岸日齢および接岸時期の間の相関を検討することが可能になるものと考えられた。一方,ニホンウナギの対照として熱帯ウナギA.maromorataの耳石微細構造の解析も行っている。 2,mtDNAによる解析:先ず,外洋で採取されたレプトケファルスの分子生物学的同定法を確立するために,mtDNA上の16SrRNA遺伝子などの塩基配列をウナギ類各種について決定した。現在そのデータを比較することにより,ニホンウナギのレプトケファルスのみを検出するDNAマーカーを探索中であるが,ほぼそれが得られる見通しがついている。次に,レプトケファルスと東アジア一帯に接岸するシラスウナギの集団間の対応関係を検討するためまず,レプトケファルスのmtDNA抽出,増幅のための条件設定を行った。D-loop領域の塩基配列決定およびデータの集団間比較は現在進行中である。これらにより,外洋のレプトケファルスと各接岸集団との対応関係が明らかになり,ウナギの接岸回遊機構の一端が解明されるものと期待される。
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[Publications] 塚本勝巳: "ウナギの生態と資源" 養鰻研究協議会要録. 47-54 (1996)
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[Publications] Mutsumi Nishida: "Recent developments in the use of molecular genetic markers in fisheries biology." Proc.2nd Internl.Symp.on Efficient Application and Preservation of Marine Biological Resources. 151-165 (1996)
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[Publications] 西田 睦: "通し回遊魚における生活史変化を伴う種分化を考える" 月刊海洋. 28. 293-297 (1996)