1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小畠 渥 高知大学, 農学部, 教授 (10036725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 克司 高知大学, 農学部, 助手 (90230094)
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Keywords | 残滓 / 脂質 / 魚 / 自己消化 / エキス |
Research Abstract |
魚体処理機の導入により、頭部及び内臓などが画一的に切断されるため、かなりの可食部分が残滓として廃棄されるようになった。それらは環境保全の面からも有効利用が望まれる。本研究では、処理残滓からタンパク成分、脂質成分を回収するための基礎的知見を得ることを目的とし、本年度は、残滓成分の成分分析並びに残滓中のタンパク成分の自己消化による回収条件について検討した。 1.残滓の成分分析:(1)残滓は、頭部が約半量を、次に内臓部、腹部肉が各15%ほどを占め、その他骨や血液などが含まれていた。(2)残滓の約半分を占める頭部には、窒素成分が15.1%、脂質成分が11.7%が含まれていた。(3)脂質成分では、生理活性を示すと言われている22:6n-3の組成比が最も高く、通年20-30%であった。2.自己消化条件の検討:(1)15、20及び25℃で24時間消化させた試料のエキス窒素量は、いずれも消化前の3倍を越える値となった。(2)残滓に対し、等量、2倍量及び4倍量のいずれの加水によっても消化後のエキス窒素量に差は認められなかった。(3)弱アルカリ域で消化させた試料で遊離アミノ酸量(a)がペプチド態アミノ酸量(b)よりも多く、弱酸性域で消化させた試料では逆に(b)が(a)より多くなった。(4)静置状態で消化させた試料のエキス窒素量は撹拌して消化させたものとほとんど差はなかった。以上の結果から、残滓の約半分を占める東部には、タンパク成分、脂質成分ともに多く含まれており、特に脂質中には機能性脂質である22:6n-3が高含量含まれていた。タンパク成分は、内臓を用いて自己消化させることでエキス成分として回収することが可能であり、その条件としては、残滓に2倍量加水し、pHを弱アリカリ域に調整し、15℃で24時間静置して自己消化させるのが適当であった。得られたエキスは試飲の結果、調味原料として利用可能であると判断した。
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