1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物固体における物質輸送システムの最適化に関する環境生理学的研究
Project/Area Number |
08456132
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江口 弘美 九州大学, 生物環境調節研究センター, 教授 (70038272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 壽彦 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助手 (40213540)
吉田 敏 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助手 (90191585)
北野 雅治 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (30153109)
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Keywords | 物質輸送 / 水プロセス / 果実肥大生長 / 溶存O_2濃度制御 / 根の生理機能 / 光合成産物 / 転流 / シンク-ソース関係 |
Research Abstract |
根の機能に関しては,前年度までに得られた溶存O_2濃度の作用に関する成果について総合的な解析を行った.その結果,低溶存O_2濃度下で根の呼吸が抑制された条件においては根の通水抵抗が増大して吸水が抑制されて葉の含水量が低下した結果として地上部の生育が抑えられることを示すとともに,低溶存O_2濃度条件下の根の組織の木化が吸水抑制の一因であることを示唆した.トマト植物の果実生長と光合成産物の転流に関与する水プロセスに関しては,果実の肥大生長と光合成産物の転流の動態に対する根圏水分の影響を調べた.その結果,果実の肥大は転流の途中経路である茎の水収支の動態を通して根圏水環境の影響を受けており,果実から茎への汁液の逆流も生じうること,また根圏水環境の変化によって光合成産物の転流も影響を受け,その反応のパターンは木部水ポテンシャルの低下およびその指標となる茎の収縮の程度によって異なることが示唆された.サツマイモ植物の光合成産物の転流と貯蔵に関しては,ソース器官(地上部)の環境に対する塊根肥大の動的な反応を解析した.その結果,葉の蒸散の急激な変化によってサツマイモ植物体の水収支に一時的な不均衡(葉の蒸散と細根の吸水の不均衡)が生じた場合,塊根がその緩衝に関与して塊根に一時的な膨張と収縮が生じることを明らかにした.また,暗期の塊根生長は塊根周辺の湿度にも影響され,塊根周辺の相対湿度が70%の時に塊根生長が最も促進されることを明らかにした. 最後に,これまでの実験で得られた植物個体レベルの物質輸送システムに対する環境作用の解析に関する成果を,葉菜,果菜および根菜における植物生産環境の最適化という観点からとりまとめた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 北野雅治: "トマトにおける果実生長および光合成産物の転流の動態に対する環境作用.光照射および昼夜温の影響" 生物環境調節. 36. 159-167 (1998)
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[Publications] Kitano,M.: "Temperature dependence of postphloem transport regulated by respiration in tomato fruits." Biotronics. 27. 33-39 (1998)
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[Publications] Araki,T.: "Analysis of growith,water balance and respiration of tomato fruits under water deficit by using a multiple chamber system." Biotronics. 27. 61-68 (1998)
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[Publications] Yoshida,S: "Growth of cucumber plants(Cucumis sativus L.)under diumal control of air temperature." Biotronics. 27. 97-102 (1998)
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[Publications] 江口壽彦: "サツマイモにおける水分状態と塊根生長速度の動態" 生物環境調節. 36. 91-95 (1998)
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[Publications] Eguchi,T: "Growth of sweetpotato tuber as affected by the ambient humidity." Biotronics. 27. 93-96 (1998)