1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
首藤 文栄 岩手大学, 農学部, 教授 (60001533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲波 修 北海道大学大学院, 獣医学研究科, 助教授 (10193559)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / 神経毒素 / 抗毒素 / キメラ分子 / 分子治療法 / ボツリヌス中毒症 |
Research Abstract |
ボツリヌス中毒症は、致命率の高い疾患である。ボツリヌス毒素は、呼吸筋の神経終末から細胞内に取り込まれ、アセチルコリンの放出を阻害して呼吸麻痺を引き起こす。毒素分子がいったん細胞内に取り込まれると、もはや抗体は結合できなくなるから、抗血清の効果は殆ど期待できなくなる。そこで、細胞内に細胞内に進入し、内部に侵入した毒素を中和することができる抗体を調節して、分子レベルで治療することが必要になる。 ボツリヌス神経毒素は重鎖と軽鎖からなり、重鎖が神経終末の特異的結合部位に結合して軽鎖を細胞内に送り込み、軽鎖は重鎖と離れて毒性を発現する。したがって、重鎖に抗軽鎖抗体を担がせれば、毒素と同じ経路で中和抗体を送り込み、障害部位に存在する毒素を中和できると考えられる。この研究では、化学的方法と遺伝子工学的方法によりキメラ分子の作製を試みた。まず、ボツリヌス菌の培養上清から毒素を精製し、これを重鎖と軽鎖に分離した。一方では抗毒素血清から抗軽鎖抗体を精製した。抗体ヒンジのS-S結合をシステアミンで還元した後、0℃で重鎖と会合させた。この反応で生じた数種類の会合体のなかから分子サイズ約250kDaのものを分離し、毒素の重鎖と抗体の重鎖および軽鎖に相当するコンポーネントが含まれていることを確認した。この画分の毒素中和活性は、加工されていない毒素の約2.5倍であった。次に、モノクローナル抗体を用いて会合を試みた。これにより回収率は約10%になり、比中和活性もさらに1.5倍上昇した。現在、モノクローナル抗体のcDNAクローニングと重鎖の発現条件について検討している。 科学研究費補助金で購入した高速冷却遠心機は、上述の毒素、抗体およびキメラ分子の分離精製に使用している。
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