1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456146
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
首藤 文榮 岩手大学, 農学部, 教授 (60001533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
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Keywords | ボツリヌス神経毒素 / キメラ分子 / 神経細胞内指向性抗体 / キチン結合性タンパク質 / ボツリヌス中毒症 / 分子治療法 |
Research Abstract |
この研究の目的は、ボツリヌス中毒症を分子レベルで的確に治療するための方法原理を確立することである。具体的には、ボツリヌス神経毒素分子の重鎖と抗軽鎖抗体のキメラ分子および重鎖と軽鎖標的蛋白質のキメラ分子を作製し、その分子特性を解析して、分子治療法の可否を判断する。 1)神経細胞内指向性抗体(Hc-F(ab)'2)の調製 軽鎖抗体F(ab)'2と毒素の重鎖とを会合させたキメラ分子を合成した。このキメラ分子の比中和活性は、素材として用いた抗軽鎖抗体の約2.5倍であった。 2)型の異なる毒素重鎖の利用 キメラ抗体の頻用でキャリアーの抗原性が問題になるようなケースでは、異型毒素の利用が必要である。異型毒素の重鎖をキャリアーとして用いた場合も、ほぼ同じ中和活性を持つキメラ分子が得られた。 3)神経細胞内指向性抗体(結合フラグメント-IgG)の調製 抗軽鎖ポリクローナル抗体を結合フラグメントと会合させたが、会合率が0.1%以下であった。比中和活性は、遊離のものに比べて約1.5倍であった。このことから、キャリアーには重鎖のN末端が必要なことが分かった。 4)他のキャリアーの検索 キメラ分子を効率的に作用部位に運ぶために、毒素分子に結合する血清タンパク質を検索した。血清中のキチン結合性タンパク質が、毒性の活性を上昇させた。この蛋白質が、キメラ分子の活性を上昇させるかどうかについて、現在検討中である。 5)重鎖の大腸菌における発現 キメラ分子を効率的に合成するには、化学合成法では限界があり、したがって、遺伝子工学的合成法の開発が必要である。この点を解決する目的で、重鎖の遺伝子を大腸菌に導入し、重鎖蛋白質の発現と倍地中への遊離を試みたが、いずれも期待した結果は得られなかった。また、重鎖を可溶化、抽出することが極めて困難であった。 これらの結果から、発現を大腸菌から他の細胞にかえる必要があり、現在検討中である。
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