1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456154
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
椛 秀人 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50136371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 安亮 鹿児島大学, 農学部, 講師 (50211181)
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Keywords | フェロモンの記憶 / 一酸化窒素 / 一酸化炭素 / ノルアドレナリン / 副嗅球 / シナプス後膜肥厚 |
Research Abstract |
われわれが解析してきた、交尾刺激を引き金として雌マウスに形成される雄の匂いの記憶は、妊娠の成立に不可欠な、生存価の高い記憶であるとともに、学習記憶研究のモデルシステムとして有用である。この記憶は副嗅球で形成される。副嗅球の中継ニューロンである僧帽細胞は副嗅球に内在する顆粒細胞との間に、樹状突起同士の双方向性シナプスをつくっている。フェロモン受容により興奮した僧帽細胞はグルタミン酸を放出して顆粒細胞を興奮させる。興奮した顆粒細胞はGABAを放出して僧帽細胞を抑制する。われわれはすでに、この僧相性樹状突起間シナプスこそが可塑性の場であることを明らかにしている。記憶すなわちシナプスの可塑的変化がもたらす効果は、フェロモン情報の選択阻止である。本研究の目的は、生存価の高い匂い学習記憶の分子機構を明らかにすることであった。得られた成果は以下の通りである。 1)われわれはすでに、フェロモンの記憶形成に一酸化窒素(NO)が関わることを明らかにしている。ガス状の神経情報伝達物質として一酸化炭素(CO)が同定され、いくつかの神経系でNOと協力して神経可塑性に関わることが証明されている。フェロモン記憶にCOが関わるか否かに関する実験については、CO合成酵素阻害剤の副作用の問題が生じ、さらに検討を行っているところである。 2)この記憶形成は副嗅球へ投射するノルアドレナリンの働きが不可欠である。われわれはすでに、記憶非形成群に比較して記憶形成群では僧帽細胞から顆粒細胞への興奮性シナプスの後膜肥厚のサイズが有意に増大していることが明らかにしているが、このノルアドレナリン神経を破壊するとサイズの有意な増大が認められなくなるとの知見を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsuoka,M.: "Synaptic plasticity in oefactory memory formation in femace mice" Neuro Report. 8. 2501-2504 (1997)
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[Publications] Okutani,F.: "The biphasic effects of locus coeruleus nonadrenergic activation on dendrodendritic inhibition in the rat oefactony bulb" Brain Rosearch. (印刷中). (1998)
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[Publications] Kaba,H.: "Neural Control of Regroduction" Japan Scientific Societies Press, 254 (1997)
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[Publications] Kaba,H.: "Biology of Pregnancy : Placentation and maintenance of the gestatioanl stete-I" Keiseisha, 87 (1997)