1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457027
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鍋島 俊隆 名古屋大学, 医学部, 教授 (70076751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (80198720)
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Keywords | シグマ受容体 / ニューロステロイド / ストレス疾患モデル / 学習・記憶 |
Research Abstract |
1. 怖条件付けストレス反応における内因性ニューロステロイドの役割 我々は,これまでにニューロステロイドのdehydroepiandrosterone sulfate(DHEAS)がシグマ受容体作動薬と同様に恐怖条件付けストレス反応を緩解することを報告した.そこで,内因性のニューロステロイドが怖条件付けストレス反応にどのような役割を果たしているかを調べた.恐怖条件付けストレス反応を呈した動物のDHEAS含量を測定したところ,血清中DHEAS含量は減少していた.このような動物にDHEASを投与したところ,恐怖条件付けストレス反応は有意に緩解したことから,ストレス反応の発現時には内因性DHEASの増減が重要な役割を果たしているものと思われる.妊娠マウスにおける恐怖条件付けストレス反応に対してはDHEASは作用を示さなかったが,雄性マウス同様,非妊娠雌性マウスにおいてはDHEASはストレス反応を緩解した.妊娠マウスにおいて観察されたDHEASの緩解作用の消失は、性差によるものではないと思われる.非妊娠時と比較して妊娠時の血漿中DHEASの含量は減少しており、逆に、血漿中progesteroneの含量は増加していること、恐怖条件付けストレスに対するDHEASの緩解作用は、progesteroneによって拮抗されることを報告している。従って、妊娠マウスにおいて内因性DHEAS含量が減少しており、逆にprogesterone含量が増加していることによって、DHEASの作用が減弱したものと示唆される。一方、fluorocitrateによりグリア細胞を破壊し、ニューロステロイドの産生を阻害したマウスにおいて恐怖条件付けストレス反応に対するDHEASの作用を検討したところ、DHEASの緩解作用は消失した。従って、fluorocitrateによりグリア細胞を破壊するとニューロステロイド、すなわちDHEASの生産および含量が減少したため、DHEASの緩解作用が消失したものと示唆される。以上の結果より、ストレス反応の発現に内因性DHEASが関与している可能性があり、さらに、ストレス反応緩解作用に対して内因性DHEASが重要な役割を果たしていることが示唆される。 2. Dizocilpine誘発空間認知記憶障害に対するニューロステロイドの作用 NMDA受容体アンタゴニストのdizocilpineにより放射状迷路試験における作業記憶エラーと参照記憶エラー数が有意に増加し、両記憶の障害が認められた。Dizocilpineによる作業記憶と参照記憶障害は、シグマ1受容体作動薬のSM4503,DHEASとpregnenolone sulfate(PREGS)によって改善された。Dizocilpineによる参照記憶障害に対するこれら化合物の改善作用は、NE-100およびprogesteroneにより拮抗された。これらの結果から,シグマ1受容体は,空間認知記憶に重要な役割を果たしており,これら化合物の改善作用は,シグマ1受容体を介して発現していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yukihiro Noda: "Involvement of dopaminergic systen in phencyclidine-induced place preference in mice pretreated with phencyclidine repeatedly." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 286. 44-51 (1998)
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[Publications] Li-Bo Zou: "σ Receptor ligands (+)-SKF10,047 and SA4503 improve dizocilpine-induced spatial memory deficits in rats." European Journal Pharmacology. 355. 1-10 (1998)
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[Publications] Masayuki Hiramatsu: "Effects of U-50,488H on scopolamine-,mecamylamine- and dizocilpine-induced learning and memory impairment in rats." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 284. 858-867 (1998)
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[Publications] Li-Bo Zou: "Nitric oxide synthase inhibitors impair reference memory formation in a radial arm maze task in rats." Neuropharmacology. 37. 323-330 (1998)