1996 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンシグナル伝達の分子機構とその異常による糖尿病の解析
Project/Area Number |
08457050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
蛯名 洋介 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (00112227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 和弘 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (70284320)
林 日出喜 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (10218589)
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Keywords | インスリン / GLUT4 / トランスロケーション / PI3-キナーゼ / グルコース取り込み |
Research Abstract |
インスリン結合により活性化されたインスリンレセプターチロシンキナーゼはInsulin Receptor Substrate-1(IRS-1)の複数のチロシン残基をリン酸化し、そこにPI3-キナーゼなどのSH2ドメインと持つシグナル伝達因子が結合することにより活性化される。我々は新しく開発したGLUT4のトランスロケーションを測定するシステムと、PI3-キナーゼの阻害剤であるwortmanninを用いることによりインスリン刺激によるGLUT4のトランスロケーションにはPI3-キナーゼの活性化が必須であることを明らかにした。さらにPDGFやEGFもそのレセプターを介してPI3-キナーゼを活性化することによりGLUT4のトランスロケーションを起こすことも明らかにした。即ちインスリン特有と考えられていたGLUT4(インスリン反応性グルコーストランスポーター)のトランスロケーションはPDGFやEGFなどの細胞増殖因子もその能力を潜在的に有しており、しかも今まで細胞増殖を伝達すると考えられていたPI3-キナーゼによって担われていることが明らかとなった。 しかし、インスリン刺激で活性化されたPI3-キナーゼがGLUT4のトランスロケーションを引き起こすのに必要かつ十分であるかは議論のあるところであり明らかでなかった。そこで我々はインスリンレセプターとIRS-1をほとんど発現していないRat3Y1細胞を用いたインスリンシグナル伝達の再構成を試みた。3Y1細胞を安定にインスリンレセプター、IRS-1、GLUT4mycをcDNAを介して発現させた細胞を作った。その細胞はインスリン以外のNaFやPMAなどの刺激によってはGLUT4mycのトランスロケーションが起こるので、GLUT4mycをトランスロケーションさせる装置はもっているものと思われる。この細胞をインスリンで刺激するとインスリンレセプターチロシンキナーゼの活性化、IRS-1のチロシンリン酸化、PI3-キナーゼの活性化は起こるが、GLUT4mycのトランスロケーションはみられなかった。このことからRat3Y1細胞においてはPI3-キナーゼの活性化がGLUT4mycのトランスロケーションに必要かつ十分ではないことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kishi,K.,Ebina,Y.et al.: "Gq-coupled receptors transmit the signal for GLUT4 translocation via an insulin-independent pathway" J.Biol.Chem.271. 26561-26568 (1996)
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[Publications] Todaka,M.,Ebina.Y.et al.: "Roles of insulin,guanosine 5′-〔γ-thio〕triphosphate and phorbol 12-myristate 13-acetate in signaling pathways of GLUT4 translocation" Biochem.J.315. 875-882 (1996)
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[Publications] 蛯名洋介: "化学と生物「インスリンによる細胞内へのグルコース取り込み促進機構」" 日本農芸化学会編集 学会出版センター発行, 2 (1996)