1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるC型肝炎、肝癌病態モデル系の開発とその応用
Project/Area Number |
08457077
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
江角 真理子 日本大学, 医学部, 助教授 (30167291)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 珠実 日本大学, 医学部, 助手 (70224516)
|
Keywords | C型肝炎ウイルス / 肝癌 / トランスジェニックスマウス / メチル化 / 5-アザシチジン |
Research Abstract |
1トランスジェニックマウスの作出 導入遺伝子は、3種類の遺伝子を構築した。肝特異的発現用にアルブミンプロモーター/エンハンサーを発現制御領域として用い、その下流にC型肝炎ウイルス遺伝子構造蛋白質C,E1,E2領域を含む3.8kbの部分遺伝子を導入したもの(Alb-HN3.8)と、全長遺伝子9.4kbを導入したもの(Alb-HN2)、さらに発現強力プロモーターであるSRαプロモーター下に全長遺伝子を挿入したもの(ME-HN2)の3種類である。各々のトランスジェニックマウスはAlb-HN3.8が3ライン、Alb-HN2が19ライン、ME-HN2が9ラインを作出することができた。肝臓での発現解析を行ったが、いずれもpolyA(+)RNAのノザンブロット解析では検出できなかった。C型肝炎ウイルス遺伝子導入マウスでは、導入遺伝子の発現が著しく抑えられることがわかった。 2トランスジェニックスマウスにおける導入遺伝子の発現誘導 導入遺伝子発現抑制が如何なる機構によるものかを解析するために、メチル化の機序を検討した。導入遺伝子のメチル化をメチル化感受性の制限酵素によるサザンブロット法と、bisulfiteゲノムシーケンス法によるメチル化シトシンのマッピングにより検討した結果、顕著にメチル化されていることが明らかとなった。そこで脱メチル化剤5-アザシチジン投与による発現誘導を試みたところ、6ラインのうち4ラインで発現誘導がみられた。C型肝炎ウイルス導入遺伝子の発現抑制は、高度のメチル化によることがわかった。 3トランスジェニックマウスによる肝炎発症 Alb-HN3.8導入マウスを長期に飼育したなかに、病理組織学的な検索から肝内巣状壊死を示す個体や、腹水貯溜を伴う肝炎発症個体を観察した。この時期での導入遺伝子の発現有無や免疫反応の有無、導入遺伝子依存性についてはさらに検討の必要がある。ヒトC型慢性肝炎は、PCRで始めて検出されるような微量なウイルスの増殖とその遺伝子発現で起こる疾患である。そういう意味では、本研究で得られたトランスジェニックスマウスはヒトに近いモデルマウスとも言える。導入遺伝子発現のコントロールや、免疫系の導入をしながら、よりヒトに近い肝炎肝癌のモデル動物の検討を進める。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ahmed M.,他: "Murine humoral immune response against recombinant structural proteins of hepatitis C virus distinct from those of patients." Microbiology and Immunology. 42(2). 169-176 (1996)
-
[Publications] 加藤珠実,他: "Inactivation of hepatitis C virus cDNA transgene by hypermethylation in transgenic mice." Archives of Virology. 141(5). 951-958 (1996)
-
[Publications] 江角真理子,他: "Immunoreactive core peptides of hepatitis C virus produced in Escherichia coli and in vitro DNA amplification-restricted transcription-translation system." Journal of Virological Methods. 59(1-2). 91-98 (1996)
-
[Publications] 江角真理子,他: "抗エンベロープ抗体でC型肝炎ウイルスを感染防御できるか" 肝胆膵. 32(6). 841-844 (1996)
-
[Publications] 水野真理,他: "分子系統樹解析による血液透析患者のHCV感染" 肝胆膵. 32(6). 859-862 (1996)
-
[Publications] Cerino A.,他: "Antibody responses to the hepatitis C virus (HCV) E2 protein : relationship to viraemia and prevalence in anti-HCV seronegative subjects." Journal of Medical Virology. (in press).