1996 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス菌の産生する無毒蛋白質の構造と機能の解析
Project/Area Number |
08457088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小熊 惠二 岡山大学, 医学部, 教授 (00002262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 薫 岡山大学, 医学部, 助手 (40260103)
藤永 由佳子 岡山大学, 医学部, 助手 (60252954)
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Keywords | ボツリヌス菌 / ボツリヌス毒素 / 無毒成分 / 赤血球凝集素 |
Research Abstract |
ボツリヌス神経毒素(分子量約15万)は培養液や食品中では無毒成分と結合し、30万、50万、90万という巨大分子(progenitor toxin)を形成している。A型菌は30万、50万、90万の毒素を、C型およびD型菌は30万と50万の毒素を産生する。30万の毒素は神経毒素に赤血球凝集活性(HA)を示さない無毒成分(nontoxic-nonHAと命名)が結合したものであり、50万、90万の毒素は30万の毒素にさらにHAが結合したものである。 私達はこれまで、C型およびD型菌の神経毒素、nontoxic-nonHA、HAの遺伝子をクローン化し、その全塩基配列を決定すると伴に、それらを精製し、HAは53、33、20-22、17KDaのサブコンポーネントより成ることを明らかにしてきた。今回、同様にA型菌のprogenitor toxinを解析したところ、1)A型のHAも同様のサブコンポーネントより成る、2)30万の毒素を構成しているnontoxic-nonHAは、50万の毒素のnontoxic-nonHAと異なり、そのN端側に切れ目(nick)を持っており、このためにHAが結合できない、3)90万の毒素は50万の毒素がHA-33を介して2分子結合したものである、との結論を得た。 また無毒成分の機能としては、progenitor toxinが胃を通過する際に、神経毒素を胃液から保護すると報告されていたが、今回モルモットを用いてC型毒素の小腸上皮細胞への結合および吸収実験を試みたところ、12S細胞や神経毒素は上皮細胞に結合しないが、16S毒素のみが結合し、ここより吸収され血中に移行した。従ってHAは、progenitor toxinの上皮細胞への結合および吸収に際して、非常に重要な役割を担っていることが判明した。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Moriishi,K.,et al.: "Mosaic atructures of neurotoxins produced from Clostridium botulinum types C and D organisms." Biochim.Biophys Acta.1307・2. 123-126 (1996)
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[Publications] Inoue,K.,et al.: "Molecular composition of Clostridium botulinum type A progenitor toxins." Infect.Immun.64・5. 1589-1594 (1996)
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[Publications] Moriishi,K.,et al.: "Molecular cloning of the gene encoding the mosaic neurotoxin composed of parts of botulinum neurotoxin types C1 and D and PCR detection of its gene from Clostridium botulinum type C organisms." Appl.Environ.Microbiol.62・2. 662-667 (1996)
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[Publications] Takeshi,K.,et al.: "Simple method for detection of Clostridium botulinum type A to F neurotoxin genes by polymerase chain reaction." Microbiol.Immunol.40・1. 5-11 (1996)
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[Publications] 小熊惠二 他: "毒素産生菌による感染症-ボツリヌス症-" 科学療法の領域. 12・4. 27-36 (1996)
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[Publications] 井上薫 他: "ボツリヌス毒素のbinding assay.グリコバイオロジー実験プロトコール(糖タンパク質・糖脂質・プロテオグリカン)" 細胞工学. 別冊. 230-235 (1996)
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[Publications] 小熊惠二 他: "細菌毒素と小児疾患-細菌毒素とは-" 小児内科. 28・9. 1171-1178 (1996)
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[Publications] 小熊惠二 他: "感染症における病原因子-ボツリヌス菌-" 臨床検査. 41・6(in press). (1997)
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[Publications] 小熊惠二 他: "感染症の脅威-毒素型食中毒-" 綜合臨牀. (in press). (1997)
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[Publications] Oguma,K.,et al.: "Molecular Approaches to Food Safety" M.Eklund,J.L.Richard,K.Mise, 532 (1996)