1997 Fiscal Year Annual Research Report
麻疹ウイルスの感染と細胞融合に関与する細胞レセプターの研究
Project/Area Number |
08457097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳 雄介 九州大学, 医学部, 教授 (40182365)
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Keywords | 麻疹ウイルス / ウイルスレセプター / CD46 / 細胞融合 / 合胞体 |
Research Abstract |
最近,麻疹ウイルスワクチン株に対する細胞受容体は、補体制御因子の一つであるCD46であることが明らかにされた。また,患者分離株(野生株)はマ-モセット由来のB細胞株であるB95a細胞を用いて高率に分離されるようになった。本研究では,先ず,麻疹ウイルスワクチン株であるEdmonston株と患者から分離した野生株の種々の培養細胞における増殖とcytopathic effectを検討した。その結果,野生株はCD46を発現している多くの培養細胞でほとんど増えず,細胞融合も起こさないことが分かった。さらに,これらの野生株はCD46のdownregulationを起こさなかった。Edmonston株のH遺伝子とF遺伝子をHeLa細胞,Cos細胞,B95a細胞に遺伝子導入するといずれの細胞でも合胞体形成を認めた。しかし、野生株のH遺伝子とEdmonston株のF遺伝子の遺伝子導入ではB95a細胞には合胞体形成を認めたが、HeLa細胞,Cos細胞には合胞体形成は起こらなかった。野生株のH遺伝子とEdmonston株のF遺伝子を発現させたCos細胞を種々のCD46陽性細胞と混合培養すると,B95a細胞を加えた時には細胞融合が起こったが,それ以外の細胞では融合は起こらなかった。さらに,RT-PCRによる解析で,B95a細胞のCD46はEdmonston株の感染に必須とされているSCR1ドメインを欠いているものがほとんどであった。これらの研究結果から,麻疹ウイルス野生株の感染には,CD46以外に受容体として働いているものがあると考えられる。
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[Publications] Miyagawa,S: "Difference of expression levels between gene technological product ΔCYT-MCP(CD46)and intact MCP(CD46)in transgenic mice." Transplant.Proc.28. 585-586 (1996)
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[Publications] Seya,T.: "The CD46 transmembrane domain is required for efficient formation of measles-virus-mediated syncytium." Biochem.J.322. 135-144 (1997)
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[Publications] Tanaka,K.: "The hemagglutinin of recent measles virus isolates induces cell fusion in a marmoset cell line,but not in other CD46-positive human and monkey cell lines,when expressed together with the F protein." Arch.Virol.(1998)
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[Publications] 柳 雄介: "ウイルス感染と免疫" 小児科診療. 60. 1751-1756 (1997)
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[Publications] Yanagi,Y.: "An Approach to Diseases-Immunology,Hematology,Cancer-" Kyushu University Press,Fukuoka,Japan, 171 (1996)
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[Publications] 柳 雄介: "Key Word 1997-'98感染症" 先端医学社,東京, 205 (1996)