1997 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球およびマクロファージ増殖分化におけるIL-6の作用機序
Project/Area Number |
08457105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 弘一 大阪大学, 医学部, 助教授 (00227787)
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Keywords | IL-6 / STAT3 / stat3遺伝子 / CDKインヒビターp19^<INK4D> / 増殖・分化 / H7-感受性キナーゼ / JAK / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
IL-6による細胞の増殖分化細胞死決定にJak-STAT伝達系が重要である。本研究はSTAT3の活性化機序および生理的役割を担うSTAT3依存性に活性化される遺伝子群を詳細に解明することを目的としている。細胞外因子シグナルを核に伝達するJak-STAT伝達系の調節機構、作用機序を解析し、以下の諸点を明らかにした。1.IL-6によりG1期で増殖停止し、分化にいたるM1細胞においては、G1期CDK/cyclinの低下はなく、CDKインヒビターのうちp19INK4DのみがSTAT3依存性に長時間にわたり誘導され、低リン酸化型Rb蛋白出現と相関することを示した。2.IL-6によりStat3遺伝子そのものが、STAT3により長時間活性化されることを明らかにした。Stat3遺伝子プロモーター解析を行い、Stat3遺伝子がSTAT3とCRE結合蛋白からなる複合体により活性化されることを明らかにした。この自己活性化ループがM1細胞でみられる持続的STAT3活性化機序のひとつと考えられた。3.STAT3C末727Sをリン酸化するキナーゼには、MAPキナーゼと阻害剤H7に感受性のあるキナーゼの二つがあること、特に後者H7-感受性キナーゼは、低濃度IL-6による生理作用に重要であると考えられた。このキナーゼ同定のための作業を継続している。4.NGFで前処理されたPC12細胞がIL-6(gp130)に応答して神経突起を伸ばす際には、Ras/MAPK伝達路が重要であり、STAT3活性はむしろ神経突起伸長には抑制的に作用すること、NGF前処理によりIL-6によるSTAT3チロシンリン酸化が抑制されることを示した。5.G-CSFによる好中球への分化にSTAT3が必須であることを示し、またSTATの核移行に関与する分子について明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ihara,S., et al.: "Dual control of neurite outgrowth by STAT3 and MAP kinase in PC12 cells stimulated with interleukin-6." EMBO J.16. 5345-5352 (1997)
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[Publications] Shimozaki,K., et al.: "Involvement of STAT3 in the Granulocyte Colony-stimulating Factor-induced Differentiation of Myeloid Cells." J.Biol.Chem.272. 25184-25189 (1997)
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[Publications] Narimatsu,M., et al.: "Association of Stat3-dependent transcriptional activation of p19INK4D with the IL-6-induced growth arrest." Biochem.Biophys.Res.Commun.238. 764-768 (1997)
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[Publications] Sekimoto,T., et al.: "Extracellular signal-dependent nuclear import of stat1 is mediated by nuclear pore-targeting complex formation with (Via) NPI-1,not Rch1." EMBO J.16. 7067-7077 (1997)
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[Publications] Ichiba,M., et al.: "Autoregulation of the Stat3 gene through cooperation woth a CRE site binding protein." J.Biol.Chem.(in press). (1998)